ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

会食で相手にしゃべらせる

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ビジネスにおいて会食は重要な役割を果たしているが、会食の場を有効活用できている人は意外と少ない。お金持ちほど会食を重視する人種はいないとされるが、その理由は、会食の重要性を誰よりも理解しているからである。会食の場において、自分のことばかりしゃべる人も多いが、これでは商談がうまくいかないのも当然である。

*この記事は2019年5月に掲載されたものです

そもそも会食をするかしないかという決断が重要

1日24時間は誰にでも平等に与えられており、これはどんな経済状況の人にとっても同じである。逆に言えば、この24時間をどう使うのかで、人には大きな差が生まれてしまう。会食を成功させられるかどうかは、時間が貴重な資源であることについてどれだけ理解しているのかにかかっている。この部分を理解できないと、会食はぜったいにうまくいかない。

最初の関門はそもそも会食の行くのかどうかである。

会食というのは、時間という貴重な資源をお互いに浪費するという行為なので、よほどの期待収益がなければ、食事を共にする合理性がない。会食をどのように活用するのかという話以前に、会食に行くのか行かないのかという段階で、大きな決断を迫られている。この部分で思い切った決断ができない人は、時間というリソースを大幅に浪費することになるだろう。会食にはお金もかかるので当然のことながら経済的な損失も発生する。

合理的な決断ができる人は、そもそも目的のない会食には参加しない。お金持ちの中には、人から食事に誘われた際、一瞬でも迷いが生じた相手とは絶対に食事に行かないという人までいるくらいなので、食事を共にするかどうかで、すでに相当な吟味を行っていることになる。この段階で、そもそも目的のハッキリしない会食はなくなっているはずだ。

そうなってくると会食する目的は、かなり限定されてくるだろう。あえて集約すれば、重要な相手と思っているので相手のことをもっとよく知りたい、あるいは具体的な商談において最後の一押しのために食事の場を利用するといったところである。

どちらのケースにしても、自分のことばかりしゃべっていては目的を達成できないのは明らかである。相手が自分から積極的に話し出さないタイプの場合には、まずはこちらからしゃべるというのはアリだが、基本的には相手がリラックスして自分のことを話し出す雰囲気に持って行くことができなければ会食は基本的に失敗である。

加谷珪一

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