ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

これからの資産形成には
ファミリービジネスの感覚が必要 1/4

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日本人の実質賃金は何と5年連続でマイナスとなっている。物価の上昇に賃金が追い付いていないことが原因なのだが、この状況は当分続く可能性が高い。そのよう中、豊かな生活を送るためには、家族全体で収益を最大化させるというファミリービジネスの感覚を持つことがますます重要となってきている。

*この記事は2016年7月に掲載されたものです。

お金へのタブーは強い関心の裏返し

お金の話と真剣に向き合わないまま、経済的に豊かになれる人はほぼ皆無である。単身者の場合は自分1人で経済問題が完結するのでシンプルといってよい。しかし、パートナーがいるという場合には話は変わってくる。お金の話について、しっかり向き合える関係が構築できていないと、大きなマイナス要因となってしまうのだ。

夫婦に限らず、家庭内でお金の話をしない人にはいくつかの特徴がある。ひとつはお金に対してあまりよいイメージを持っていないというパターンである。

日本ではお金は汚らしいものと教育される傾向が強く、お金のことを口に出すことははしたないと思っている人が一定数存在している。しかし、お金に対して汚いというイメージを持っている人が、お金に淡泊なのかというと決してそんなことはない。むしろ人一倍、お金に強い執着心を持っていたりするものである。

つまりお金に対するタブーというのは、お金に対する強い関心の裏返しと言うことになる。強い関心を持っているにもかかわらず、それを感情的に遠ざけるというのは合理的とはいえない

人が生活する以上、あらゆることにお金が関係してしまうのは避けられないことであり、お金に対して悪いイメージを持っていても、何のメリットももたらさない。もしパートナーのどちらかにそうした感覚がある場合には、できだけ早くその考え方をあらためるよう努力した方がよいだろう。

もうひとつの特徴は、相手への依存度である。

お金が大事であることは分かっていても、それについていろいろと考えるのはラクな作業ではない。お金に消極的な人の多くは、心のどこかで、その問題について、相手が対処してくれることを望んでいる。しかしながら、パートナーと一緒に人生を歩むという現実を考えると、やはり自分勝手という面は否定できないだろう。
 
夫婦のお金の問題は、最終的には夫婦で解決するしかない。どちらか一方が対処するという話ではなく、一緒に生活している限り、お金の話から逃げることは不可能である。どうせ逃げられないのなら、日常的に議論しておく方が有益であるに決まっている。

夫婦の間でしっかりとお金の話が出来ていれば、子供の金銭感覚もしっかりしてくるはずだ。夫婦間でのお金の話は、子供に対する効果的な経済教育にもなるという現実を忘れてはならないだろう。

加谷珪一

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