資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルと投資談議に花を咲かせる、この企画。5月のテーマは、インドの南に位置する島国「スリランカ」の不動産投資事情について。国内外で不動産投資に取り組みながら、現在はマレーシアに拠点を構え、アジアマーケットの不動産コンサルティングを手がける、FPコミュニケーションズの浦田健氏をゲストにお招きし、対談がスタートした。
内戦が終結して6年。成長目覚ましい新興国
内藤 本日はよろしくお願いします。浦田さんは、国内不動産投資の世界で知らない人はいないという有名人。現在は、マレーシアの首都、クアラルンプールに拠点を移し、日本のみならずアジア地域の不動産コンサルティングを行っています。私も昨年、スリランカに同行いただき、現地の様子や不動産投資の可能性について、間近に見ることができました。
浦田 こちらこそ、よろしくお願いします。私はもともと日本で不動産投資を始め、みずからもアパートの掃除を行う大家さんのひとりでした。現在は不動産コンサルティング会社、不動産管理会社、不動産投資会社を経営しています。海外不動産に関しては、3年半前にマレーシアで物件を買い、その後もアメリカやイギリスでもワールドワイドに投資を行っていますが、そういったなかASEAN地域の不動産に深く興味を持つようになりました。かつて日本が辿ってきた経済成長やインフラ整備、人口増加の過程にあり、不動産投資に対する魅力的なエリアで、税制や送金規制を調べても意外にシンプル。国によっては所有権も取れますし、外貨を踏まえた資産形成の対象として申し分ありません。さらに、各国を比較するなかでスリランカは手つかずで、デベロッパーはほぼいないという状態。海外不動産投資のブルーオーシャンとして注目しています。
内藤 スリランカという国は、名前は知っていても正確な場所すら知らない人も多いと思います。紅茶やカレーを思い浮かべるくらいのイメージというか…そこで、ここでおさらいさせてください。
スリランカは正式に「スリランカ民主社会主義共和国」。インド南東海岸から約100㎞に位置する島国で、その形から「インドの涙」とも呼ばれています。国土面積は65610㎞²で、これは北海道の約0.8倍。人口は約2200万人です。決して規模は大きくありませんが経済成長は著しく、1人当たりGDPは3654米ドル(2014年)と、ASEANだとタイに次ぐ規模。フィリピンより高くなりました。
浦田 スリランカは30年近く内戦が続いていて、当時は容易に外資が入ることはできませんでした。ところが2009年5月に集結してからは状況も一変。GDPは4倍に成長し、スリランカ政府は2015年の経済成長率を8.2%と見込むほど。IMFが発表した「世界経済見通し」(2014年10月)だと6.5%と開きはありますが、いずれにしても高い経済成長率が見込まれています。すでに富裕層は育っていて、これからは中流層が伸びてくるのではないでしょうか。
内藤 今年1月には大統領が交代したようですが。
浦田 それまでは、前政権のラージャパクサ大統領は内戦を終わらせ英雄的存在なのですが、自身の周りを親族で固めたり、イリーガルな手段で利権を手にするなど、国民からの不満が募っていったようです。その結果、1月の大統領選挙で落選、野党第一候補のマイトリパラ・シリセナ大統領に政権を奪われることになりました。政権交代に当たって若干揉めるかなと思いましたが、ラージャパク前大統領は潔く身を引き、今後はクリーンな政治になるという期待感もあるようです。
内藤 なるほど、内戦終結や政権交代で、新たな一歩を踏み出したということですね。
―――日本人にはあまり馴染みのない国である、スリランカ。しかしながら、政治が安定し、経済発展の軌道に乗りつつある。だからこそ不動産投資でも妙味を期待できるというが、次回はさらに国の現状や魅力に迫っていこう。
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内藤 忍(ないとう しのぶ)
株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
一般社団法人海外資産運用教育協会代表理事
東京大学経済学部、MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒業(MBA)。
大学卒業後、住友信託銀行に入社。
1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。
その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。
2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。
毎週発行する資産デザイン研究所メールは、購読者約12,000名。個人投資家の強い支持を受けている
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早稲田大学オープンカレッジ、丸の内朝大学などで講師を務め、雑誌、ネットでの連載コラムを担当。主な著書にシリーズ10万部を超えるベストセラーとなった「内藤忍の資産設計塾」シリーズ。「60歳までに1億円つくる術」「「好き」を極める仕事術」「丸の内朝大学マネーの教科書」「究極の海外不動産投資」など多数。最新刊は1月末に出版した「飲めて殖やせる 究極のワイン投資」。
浦田 健(うらた・けん)
株式会社FPコミュニケーションズ 代表取締役
一般財団法人日本不動産コミュニティー(J-REC) 代表理事
http://www.urataken.com
2002年個人向け不動産コンサルティング会社を創業。著書「金持ち大家さん」シリーズのほか不動産関連書籍多数。発行部数は業界最多の累計27万部超。2008年「すべての人に不動産の知識を!」を使命としJ-RECを創設。同時に「不動産実務検定」を開始。全国35カ所以上に教室を開設し、いつでも、だれでも、どこでも不動産実務知識が学べる環境をつくる。現在はクアラルンプールに拠点をおき、日本はもとよりアジアマーケットの不動産コンサルティングを手がける。