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今夏から秋におけるプレミアムカードの動向 1/3    

ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今回は、夏から秋にかけてのプレミアム系クレジットカードの動向を中心に情報をお伝えする。 

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エンリッチ読者の皆さま、ポイ探の菊地です。前回は、マイナンバーカードを活用したクレジットカードの申し込み、マネックス証券が始めた「dカード積立」、さらには地方路線バスによる交通系ICカード廃止について解説しました。

ここで取り上げたニュースには新たな展開があり、ひとつはマイナンバーカードのさらなる活用です。今年12月からは現行の健康保険証は新規発行されず、マイナンバーカードを健康保険証として利用する「マイナ保険証」のサービスが始まり、運転免許証との一体化も控えています。

加えて、一般社団法人全国地方銀行協会(地銀協)は、ライフイベントに伴う諸手続きのワンストップ化・オンライン化を実現するプラットフォーム「生活基盤プラットフォーム(仮称)」をTOPPANエッジやNTTデータと共同で事業化すると発表しました。本サービスでは、2025年2月中をめどに、自治体への転出届の提出・転入予約、地方銀行全62行の住所変更、口座振替登録がオンライン上で可能となる見通しです。以降も手続き対象となる金融機関を拡大しつつ、電気・ガスといったインフラ企業への停止・利用開始手続きなど、段階的に対象となる手続きを増やし、将来的には妊娠・出産、子育て、死亡・相続といったライフイベントに関する諸手続きを網羅するといいます。マイナンバーカードの是非はさておき、引っ越しなどの手続きは煩雑で、役所に行かないとできないこともあります。オンライン化することで利便性は高まることは事実であり、少しでも早い実現が待たれるのではないでしょうか。

クレカ積立にも新しい動きがあり、7月下旬に松井証券とJCBはクレカ積立サービスの提供に向けた基本的合意を締結したと発表しました。同証券は口座開設者向けの提携クレジットカード「MATSUI SECURITES CARD」を発行しており、通常の買い物で利用すると利用金額の0.5%を松井ポイントとして還元。たまったポイントで投資信託を自動積立できます。同カードをクレカ積立に使ってもよかったのでしょうが、より多くの会員基盤のあるJCBを選んだと考えられます。マネックス証券がドコモとタッグを組んだのと同じような理由でしょう。具体的なサービス内容やポイント還元率など詳細は決まり次第の発表ですが、基本的にはJCBが発行するオリジナルシリーズで松井証券の投資信託をクレカ積立できるようになる見通しです。これにより、主要ネット証券はすべてクレカ投資に対応することになります。

JCBザ・クラスが金属製カード「メタルカード」の発行を開始

JCBは2024年秋以降に同社における最高峰のカード「JCBザ・クラス」で金属製カード「メタルカード」を発行すると発表。1枚3万3000円で申し込みを受け付けます。メタルカードに対する要望は多くあったようで、それに応える格好です。ザ・クラスの象徴ともいえるペガサスのロゴを彫り込み、重厚感あふれるデザインになる予定だといいます。発行希望者は会員専用WEBサービス「MyJCB」より申し込む予定です。本会員だけではなく、家族会員も対象となります。

現在はアメックス・プラチナやラグジュアリーカード、ダイナースクラブ プレミアムカードがメタルカードを発行しており、JCBもこれに続きました。差し込んだりスライドさせたりするタイプのカードリーダーなら問題ありませんが、鉄道の券売機のように巻き込むタイプは機械トラブルを起こしやすく扱いに注意が求められますが、ユーザーから高い人気を誇るからです。メタルカードになると周囲に見せたくなるのか決済額も増えるようで、カード会社にとっても有効な戦略といえます。アメックスではゴールド・プリファード・カードにもメタルカードを採用しており、今後はさらに増えていくかもしれません。

一方、JCBザ・クラスでメタルカードが出たことで、もうワンランク上のクレジットカードの発行があるのではないかと思っています。というのも、ダイナースクラブ プレミアムカードがそうで、メタルカードの発行やそれまでベールに包まれていた存在を明らかにしたと思ったら、さらに上級カードがあることがわかりました。ザ・クラスもこのようなアナウンスをすることで会員を増やしつつ、より特典の充実したカードを出すのかもしれません。

−−−JCBザ・クラスでも始まった、メタルカードの取り扱い。ハイクラスカードのふさわしいサービスではないだろうか。次回は、プレミアム系クレジットカードによるイベントについて取り上げよう。

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菊地 崇仁 (きくち たかひと)

株式会社ポイ探 代表取締役。大学卒業後、日本電信電話株式会社(現NTT東日本)入社。システム開発に携わる。2002年の同社を退社後、友人と共に起業。ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年代表取締役に就任。現在All About、カカクコム、ECZine、日経トレンディネットへ記事を提供する他、テレビ・雑誌でも活躍中。著書に「新かんたんポイント&カード生活 (自由国民社)」、「できるAmazonスタート→活用 完全ガイド(インプレス)」他。

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