――M&Aは経営者だけではなく、そこで働く社員にもプラスの影響をもたらすということですね。
渡部 売り手の場合、M&Aをすることで会社が発展し、社員の雇用が守られるという側面もあります。いまやM&Aはネガティブな施策ではなく、成長のためのひとつの選択肢といえるでしょう。なかには、想像以上に会社が成長して、自分の器だけでは経営できないと判断してM&Aを選択する経営者もいます。
つまり、企業価値を高めるための手段でもあるわけです。もちろん、買い手にとっても、友好的で効果的なM&Aは、ポジティブに働きます。今後も、後継者不足や自社の発展のため、企業の買収合併は増えていくと考えられます。買い手・売り手どちらの立場であっても、これをチャンスと捉えていただければ幸いです。
戦略的に臨むことで、M&Aを効果的に活用することは可能だということ。皆さんも、考慮してみてはいかがだろうか。
渡部 恒郎(わたなべ・つねお)
株式会社日本M&Aセンター 業界再編支援室長
京都大学経済学部在学中にベンチャー企業の経営に参画。卒業後、2008年日本M&Aセンター入社。過去70件を超えるM&Aを成約に導き、中小・中堅企業M&AのNo.1コンサルタントとして業界を牽引している。テレビ朝日「報道ステーション」。テレビ東京系列「ワールドビジネスサテライト」・「ガイアの夜明け」、各種新聞など、複数のマスメディアで取り上げられている。
▼渡部 恒郎著
『「業界再編時代」のM&A戦略 ~№1コンサルタントが導く「勝者の選択」』
幻冬舎メディアコンサルティング 1,400円(税別)
TEXT:大正谷成晴