ブランディングのボールは相手にある
ここで重要なのは、ブランディングというものの本質である。ここを勘違いするとプラスの効果どころか、逆効果になってしまう。
ブランディングでもっとも重要なのは、主導権は相手にあるという現実を理解することである。
ブランド・イメージというのは、顧客側に憧れとしての願望があり、その潜在的な意識に合致するよう、製品や企業イメージを形作っていく作業が必要となる。ブランディングで失敗する原因のほとんどは、逆のアプローチを採用してしまうことである。
企業側が、勝手に自社のブランド・イメージを決めつけてしまい、それを周知徹底させようと一方的に宣伝してしまう。しかし顧客の側に潜在的な欲求がないものに対して、いくら宣伝を行っても顧客は乗ってこない。
まったく同じことが対人関係でも成立する。
自分ではコミュニケーション能力が高いと思っていて、それを自分のブランド価値にしようと考えたところで、相手にその意識がなければ空回りで終わる。
つまりブランド価値というのは「相手が決める」ものであって「自分が決める」ものではないのだ。成功者はこの部分を熟知している。相手をよく知り、相手が何を望んでいるのかをよく理解した上で、琴線に触れる部分をうまく演出していく。
相手が望む価値というものが、自分ではピンとこない内容であることも多い。
例えば周囲に対する気遣いが得意な人物がいるとする。本人は、気を遣うことについてあまり楽しいとは思っておらず、意識して気遣いをしているわけではないのだが、周囲の人はそれを高く評価をしている。
これも一種のブランドということになるが、ブランド価値は、周囲が決めることなので、極論を言えば、本人の意思とは何の関係もない。
ここにうまく気付くことができるのかが、自分自身のブランディングの成否を決める。そのためには、相手をよく理解することが重要となってくる。相手を理解できない人は、ビジネスでも恋愛でも成功しない。
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