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セクハラとは無縁な理由

相手が望むものを提供できる人が成功する

これに加えてお金持ちの人は、観察力が鋭く、相手が何を求めているのか、そして何を嫌っているのか容易に認識できる。

メディアでは、お金持ちは「ありがとう」という言葉を使うという話がよく紹介されるが、それはお金持ちが人間的に優れているからではない。お金持ちは相手が望むものをよく理解しており、感謝の言葉が欲しいと思っている人にそれをタイミングよく提供しているだけである。だが、こうした心配りができることは、ビジネスにおいて大きな成果が見込めるである。

では、こうした観察力はどのようにして磨かれるのだろうか。

何のことはない、相手の求めるものを理解できる人というのは、相手の話をよく聞く人に他ならない。聞き上手が異性にモテるというのは普遍的な法則だが、これはビジネスで成功するためのイロハでもある。お金持ちは何らかの形で相手の話をよく聞いているのだ。

今回のようにセクハラが社会問題化すると、一部の人は「怖くて冗談も言えなくなる」と不満を口する。だがこうした話も、お金持ちの人からすればまったくナンセンスである。

お金持ちの人は、相手との距離の取り方を熟知していることに加え、相手が望むものと望まないものをたちどころに理解できる。そうであるならば、相手がどのような話題で不快感を持つのか、どんな話題を求めているのかについてもすぐに推測できるはずだ。

多少、強引な会話や振る舞いが、時に魅力的に映るというのは事実かもしれないが、それが成立するのは相手が望んでいる時だけである。コミュニケーションの経験が豊富なら、その見極めはそれほど難しくない。相手が望んでいないにもかかわらず、そうした振る舞いに及ぶのは滑稽としか言いようがない。

お金持ちにとって世間の評判は極めて重要である。相手が望まない話題をわざわざ持ち出して自身の評価を下げるという選択肢がお金持ちにあるはずがなく、必然的にセクハラを心配する必要もなくなるのだ。

*この記事は2018年5月に掲載されたものです

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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