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メリハリを付ける

お金持ちマインドは、日頃の支出からも見て取れる

バフェット氏を尊敬し、その投資手法を真似ようとする人は多いのだが、筆者はそうした人でお金持ちになったケースを見たことがない。当たり前の話だが、安全な銘柄にただ機械的に投資していただけでは、大きな利益を得るのは不可能である。バフェット氏の利益の源泉はそこではなく、リスクに果敢に挑む姿勢にあるのだが、多くの人は、それを理解していない(というよりも見て見ぬフリをしている可能性が高い)。

これはビジネスの世界でもまったく同じことである。

どんなビジネスにも「ここが攻め時」というタイミングが必ずある。こうしたタイミングが到来した時には、迷わずすべての資金を投入する覚悟がなければ、大きな成功は望めない。このコラムの読者の方であれば、実感として理解できるはずだ。

困ったことに、攻めるべきタイミングというのは、後になってから確実に分かるものであり、そのタイミングが到来している時には100%の確信など持てないことがほとんどである。意思決定とはこうした状況で行うものであり、ここで覚悟を決められるかどうかが別れ道である。物事のメリハリを付けられない人は、肝心な時に迷ってしまい、結果的にチャンスを失ってしまう。

こうした行動パターンは、普段のちょっとした支出にもあらわれる。

成功者のお金の使い方は、支出する、しない、がハッキリしていてメリハリがある。逆にお金に恵まれない人は、すべての支出に対してネガティブか、すべてに対してだらしないのかのどちらかである。

自分が必要とするものには、思い切って支出する一方、必要のないものに対しては、どんなに安いものであっても、一切、お金を出さないという頑なさも求められる。

お金持ちの人は、ケチに見られることもあれば、散財しているように見られることもあり、その印象は両極端だが、それはこうした支出のあり方と密接に関係している。支出の基準にメリハリがあるからこそ、ある時はケチになり、ある時は贅沢に思われるのだ。

*この記事は2019年6月に掲載されたものです

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

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