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トヨタが発行を決めた新型種類株を買うべきか?

トヨタ

トヨタ自動車が発行を決定した新型種類株が話題となっている。コーポレート・ガバナンス上、問題があると指摘する声もあり、株主総会では25%の反対票が出たといわれる。一方、純粋に投資対象と見た場合、事実上の元本保証であることは魅力的に映る。これは投資すべき商品なのだろうか?

株式だが、事実上の元本保証

6月16日に行われた株主総会で発行が決まったのは「AA型種類株式」という種類株。種類株とは、普通株と異なる権利を有する株式のことを指す。

AA型種類株式は、非上場で5年間は譲渡や換金ができないという制限があるものの、5年を過ぎた時点で、普通株に転換するか、トヨタに発行価格での買い取りを請求するのか、あるいはそのまま保有するのか選択することができる。

もし5年後にトヨタ株が値上がりさえしていれば、値上がり益を享受できることになるし、値下がりしていた場合でも、トヨタが購入価格で買い取ってくれる。5年後にトヨタが経営危機となっている可能性はゼロに近いことを考えれば、実質的に元本保証された商品と考えてよいだろう。

配当も支払われるが、一定の制限が付く。初年度は0.5%と低く抑えられており、翌年度以降5年目まで0.5%ずつ段階的に増加していく仕組みだ。現時点では、5年後の金利動向やトヨタの配当性向がどうなっているのかは分からない。もし低金利が続いていたり、配当性向が低下するようなら、配当面でも有利になる可能性がある。

もっとも値上がり益を享受できるといっても、普通株と同じレベルにはならない。発行価格は普通株の価格よりも高く設定されるので、普通株ほどのキャピタルゲインを得ることはできない可能性が高い。議決権については普通株と同様に付与されている。

トータルすると、限りなく債券に近いものだが、キャピタルゲインも一部得られる仕組みになっており、債券と株式のいいとこ取りができる商品ということになる。とにかくリスクを取りたくないという一部の個人投資家にとっては、事実上の元本保証というのは魅力的かもしれない。

最大のリスクは流動性ということになるだろう。5年間、換金ができないことは機関投資家にとっては問題外なので、基本的に資金に余裕のある個人投資家がターゲットになる可能性が高い(実際、トヨタもそう説明している)。5年間、お金を寝かせても大丈夫で、かつ、あまり値上がり益は望んでおらず、決まった配当を確実にもらいたいという投資家にとっては購入を検討する価値があると考えられる。

加谷珪一

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