ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

アートフェア「10 MILLIONS」
企業家は1000万で何を買う?

ビジネスマンがアートを買う
それが普通になればいい

最後に話を聞いたのは「TOKYO ART FLOW 00」のアートプロデューサー松田朋春氏。「TOKYO ART FLOW 00」が生まれた経緯、「10 MILLIONS」の位置づけはどのようなものなのか?

ENRICH(以下E):「TOKYO ART FLOW 00」は今年が初の開催ということですが、第1回ではなく第0回とされている理由を教えてください。

エンリッチ アートフロー 

松田: 0回というのは、実験的なデモンストレーションの色合いが強いからです。二子玉側を舞台にした街ぐるみのフェスなので、街で議論をして決める必要があるけれどその材料がない。だれも二子玉川の公共空間を使ったアートを見たことがないのですから。だからまずはやってみようと。サンプル出しです。やったものを見ながらみんなで議論をして、これからのあり方を考える。「TOKYO ART FLOW 00」の実行委員会は東急電鉄が旗振りになって地元企業、行政、大学に声をかけて作りました。僕はアートプロデューサーの立場でこのイベントに関わっています。

E:二子玉川で、なぜアートフェスを行うのですか?

松田:二子玉川は一通りの再開発が済んだ街です。そこでハードの次に必要になるのはソフトです。もともと文化がないといわれていたので、ソフトを育成して世界に発信していくことが目的です。

E:参加アーティストの選出基準は?

松田:街を素材にして、街そのものを作品にするようなアーティストに協力してもらっています。たとえば、スイスのラング&バウマンは国道246号の橋脚をカラフルなストライプにして、彫刻のような作品を生み出しています。高橋匡太というアーティストは街中をマゼンタカラーに染めるインスタレーションをやっています。マゼンタは「TOKYO ART FLOW 00」のテーマカラーなんですが、もともと二子玉川は自然環境を意識したいわばグリーンカルチャーの街です。そこで、イベントが開催される3日間はグリーンの補色となるマゼンタで二子玉川を染めようと。

エンリッチ ラング&バウマン
エンリッチ ラング&バウマン2

エンリッチ 高橋匡太
エンリッチ 高橋匡太

E:「TOKYO ART FLOW 00」における「10 MILLIONS」の位置づけを教えてください。

松田:「10 MILLIONS」はアートを買う習慣をもっと日常的にしていきたい、という目的で生まれた新しいアートフェアです。実行委員会は同じだけど、その中に「10 MILLIONS」というひとつのユニットを作っているんです。起業家のアートコレクターには、単にお金があるからというわけではなく、アートのコンセプトからビジネスのアイデアを得ている方も少なくない。今回の7人の起業家はまさにそういった方々で、「1000万あったらどんな作品がほしいですか?」と質問して、推薦作品を集めてもらっています。トップの起業家たちがほしい作品を集めて、実際にそれが買えるアートフェアです。

ビジネスとアート。両極のように思えるかもしれないが、今やその距離は徐々に縮まりつつある。両者の新しい関係をもたらすアートフェア、「10 MILLIONS」のこれからに期待したい。


取材協力:TOKYO ART FLOW 00 実行委員会

エンリッチ編集部

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