また、商品は顧客のリスクを確認した上で、資産アロケーションをご提案したいとも考えています。まず商品を見せるのではなく、アロケーションから始めて「ここが足りないなら、こういった商品があります」というアプローチです。RMもそれぞれ別の提案をすると顧客も困りますから、基本モデルを決めて、誰もが同じサービスを提供することを目指します。
内藤 未知の部分もあるようですが、今後の展開がとても楽しみです。
中島 私が思うのは、資産を一国だけに置いていく時代は終わったということです。事実、世界の富裕層はグローバル分散投資を実践しており、世界で最も適切な場所を探しながら、自己の資産運用をしています。富裕層が増えるアジア圏でも、それは変わらないでしょう。シンガポールやマレーシアに移住する日本人も増えていて、なら、資産運用も香港のような魅力的な場所で行えばいいのです。
内藤 カントリーリスクも気になります。
中島 地政学的リスクは、どの国にもあります。どこで何が起きるかわかりませんから、資産も場所を分散しておくべきでしょう。しかも、香港は日本も含めて4時間飛行機で飛べば、世界の3分の2の人話すことができると言われるアジアの「臍」で利便性も申し分ありません。いずれにしろ、世界三大金融市場のひとつである香港で、個人投資家の皆さまのために「世界水準の資産運用商品」「日本水準のサービス品質」をお届けしたいですね。
内藤 NWBでは対面や電話による取引(顧客からの入電のみ)を行うこともあり、香港・九龍のペニンシュラホテルに隣接する「ペニンシュラオフィスタワー」にオフィスを構えたそうですね。一度、機会があればお邪魔させていただきます。中島さん、本日はお忙しいなかありがとうございました。
中島 こちらこそ、ありがとうございました。
ーーー日本にはない魅力を携えた、香港金融市場。国際分散投資が叫ばれるいまだからこそ、こういった場を使い取り組む必要があるのではないだろうか。エンリッチの読者だからこそ、痛切に感じるだろう。幸い、NWBのようなサービスも出てきた。今後の動向に注目したい。
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内藤 忍(ないとう しのぶ)
株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
一般社団法人海外資産運用教育協会代表理事
東京大学経済学部、MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒業(MBA)
大学卒業後、住友信託銀行に入社。
1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。
その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。
2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。
毎週発行する資産デザイン研究所メールは、購読者約18,000名。個人投資家の強い支持を受けている(登録はこちらから)
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早稲田大学オープンカレッジ、丸の内朝大学などで講師を務め、雑誌、ネットでの連載コラムを担当。主な著書にシリーズ10万部を超えるベストセラーとなった「内藤忍の資産設計塾」シリーズ。「60歳までに1億円つくる術」「「好き」を極める仕事術」「丸の内朝大学マネーの教科書」など多数。最新刊は「初めての人のための資産運用ガイド」(ディスカヴァー携書)。
中島努(なかじま・つとむ)
Nippon Wealth Limited,a Restricted Licence Bank
取締役兼CEO
1980年日本長期信用銀行(現 新生銀行)に入行、米国勤務を経て、金融商品開発部、頭取秘書、商品開発室長を歴任。1998年Goldman Sachs証券東京支店に入社、金融商品開発業務に長年従事し、政府系金融機関の証券化アドバイザーを歴任。2004年マネックス証券入社。CEO室長、戦略事業部長等を経て、取締役へ。2008年から中国事業を担当し、香港のBoom証券買収を主導、2011年Monex International 会長に就任、Boom証券取締役を兼務。2013年6月退任。
2013年7月より香港にて、取締役兼COOの長谷川建一氏とともにNWBの立ち上げに従事。日本・香港資本から成る初の資産運用サービス専門銀行の創業に至る。
東京大学経済学部卒