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ベトナム不動産投資の世界 vol.2

もっとも大きなインパクトは、賃貸が完全自由化になったことです。つまり、7月以降にベトナムに入国した外国人は物件を購入し、賃貸として稼働させることにより、賃料収入が得られるといった不動産投資のマーケットが出来上がったといえます。

VOL2

内藤 劇的な緩和としかいいようがありません。ただし、見方としてはふたつ考えられます。ひとつは、市場の開放により自国の経済成長を取りたいということ。もうひとつは、国内の不動産市況があまり良くないので、外国人に買わせたいという政府の目論見があるのではないかという点です。物件を買うことで下支えをさせたい、プライスキーピングオペレーションの意味合いも見え隠れします。

重盛 様々な見方はありますが、規制緩和により会社の設立増、外国人の不動産投資の活発化が見込めるという背景もあり、アジア開発銀行はGDP成長率を上方修正したのかもしれません。

内藤 TPPによる恩恵も織り込まれているのでは?

重盛 そうでした。ベトナムはTPPで最大に利益を得る国のひとつとして挙げられています。同国の主力産業は靴と衣料品ですが、とりわけ衣料品はTPPが妥結されるとプラス効果が大きいと期待される分野。2013年の靴と衣料品の輸出は約263億ドルで輸出全体の2割を占めていますが、米ブランダイス大学のピーター・ペトリ教授の試算では、TPPが妥結すると、25年の輸出額は約6倍の1650億ドルになるといわれています。仮に関税が撤廃されると,外資の誘致や進出にもつながるでしょう。

内藤 規制緩和へのギアチェンジ、貿易の拡大、外資系企業の増加、様々な要因が絡んで成長が期待されるベトナム経済。実現すればローカルの生活水準は上がり不動産市場は盛り上がるでしょうし、加えて外国人に不動産投資が解禁されたことにより、資金も流れ込んでくる可能性が高いということですね。

重盛 ベトナム人の賃金水準は低くて、中流階級は800万人ほどといわれていますが、2020年には4000万人に膨らむという予測も。そこで、ローカル向けへの不動産販売や日本人駐在員に物件を貸すといったビジネスが盛り上がると私は考えています。

ーー7月に施行された改正住宅法により、外国人による不動産投資が可能になったベトナム。とても魅力的な展開ではないだろうか。そこで気になるのが投資エリアだが、次回はこれについて掘り下げていこう。


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内藤 忍(ないとう しのぶ)

株式会社資産デザイン研究所代表取締役社長
一般社団法人海外資産運用教育協会代表理事
東京大学経済学部、MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒業(MBA)

大学卒業後、住友信託銀行に入社。
1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。
その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。
2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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早稲田大学オープンカレッジ、丸の内朝大学などで講師を務め、雑誌、ネットでの連載コラムを担当。主な著書にシリーズ10万部を超えるベストセラーとなった「内藤忍の資産設計塾」シリーズ。「60歳までに1億円つくる術」「「好き」を極める仕事術」「丸の内朝大学マネーの教科書」など多数。最新刊は「初めての人のための資産運用ガイド」(ディスカヴァー携書)。


重盛竜也(しげもり・たつや)

株式会社 地球と不動産 代表取締役

2008年に大学を卒業後、研究職としてトヨタ自動車に入社。車体におけるゴム材料の耐久性などの設計支援に従事。その後、野村證券に転職して投資商品の販売や資産運用コンサルティング業務に携わる。その後、不動産デベロッパーのアルファビオスを経て、独立。金融商品から不動産投資まで、幅広い経験と知識が豊富。宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、証券外務員などの資格を持つ。

内藤忍

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