内藤 いくつか、具体的なプロジェクトをお教えください。
竹口 ボンケンコン1に建設中の「エンバシーセントラル」は、2018年末に完成予定、地上25階、約119戸のコンドミニアムです。現地で有名なブラウンコーヒーのオーナーが手がける2つ目のプロジェクトで、デザイン性が高く、1つ目の「エンバシーレジデンス」は人気物件で完売済みであることから、こちらも注目されています。価格は1ベッドが15.5万米ドル~、2ベッドは20.5万米ドル~なのですが、プノンペンは2019~20年頃に物件の完成が相次ぎ、一時的に供給過剰が予想されています。購入者からするとマイナス材料ですが、当初2年間は、年8%(ネット)の利回り保証が付くので、仮にその間は空室でも家賃収入は途絶えません。
さらに、7月には、シンガポールの不動産大手上場会社のオークスレー社と、カンボジア最大手の物流会社でヤマト運輸の提携先としても知られる、ワールドブリッジグループによる現地合弁会社が、ダイヤモンドアイランドにシャングリラホテルが2020年にオープンすることが決まり、さらに、併設の高級コンドミニアム「ピーク」も時を同じくして完成する予定です。地上55階建てで2棟1014戸という巨大プロジェクトで、50階にはインフィニティプールがあるという、豪華さが特徴。こちらも当初2年間は6%(ネット)の利回り保証が付帯します。物件は3ベッドがメインで、40㎡のスタジオタイプが20万米ドル、60㎡の1ベッドが25万米ドルほど、ところが90㎡の3ベッドは30万ドルで他と比べると割安感があります。ですから「ピーク」の場合、3ベッドがお勧めですね。家賃は月2500米ドルくらいでしょうから、利回りもグロスで10%は期待できます。出口も、現地で所得
の上がってきた中間層が狙えるのでは。
内藤 シャングリラホテルといえば5スター。隣に建つレジデンスとなれば、注目度は高まります。
竹口 カンボジアは中華圏で、中国系のカンボジア人も2割弱います。また、ODAは日本がトップですが、国別の民間投資額は、圧倒的に中国が多くを占めます。中国の富裕層はたくさんカンボジアを訪れ、彼らのお気に入りといえば、マンダリンやシャングリラホテル。隣接する物件を欲しい、住みたいと考える人は多いでしょう。
エリアは中心地から離れますが、日系のデベロッパーも活躍しています。クリードという会社で、いまはカンボジアで日系最大手。現地人向けの戸建を中心に開発事業を展開しておりますが、昨年からプノンペン空港の近くに900戸超のコンドミニアムプロジェクトを大型開発していて、中心地から離れているものの、空港前立地ということで、将来性があり、当社でも取扱っています。価格は1ベッドが1000万米ドルと手ごろで、少ない資金で始めたいなら、こういった物件をお勧めします。
いずれにしろ、国自体が成長していて、いろんな不動産プロジェクトが始まっています。そこで、各デベロッパーが切磋琢磨することで、価格もこなれてきました。投資は最終的に自己判断なので、目利きに足を運んだりする必要もありますが、直行便が就航することで、それも手軽になりつつあります。それが、いまのカンボジアなのです。
ーーー新たな局面を迎えた、カンボジアの不動産投資。外国人投資家が購入できるプロジェクトも目白押しだ。長期の資産運用に向いた市場といえるだろう。
竹口淳(たけぐち じゅん)
1971年生まれ 富山県出身
1994年、富士銀行(現みずほ銀行)入行。その後、ソフトバンクグループやKPMG、SBIキャピタル(バイアウトファンド)等。SBIグループ退社後は、海外投資を行うため単身東南アジアへ。2011年より約2年間カンボジアの現地金融機関の経営に参画。2013年よりカンボジアをメインに投資事業と海外人材の育成に務め、2013年12月アナキャムパートナーズ株式会社の創設メンバーの一人として取締役に就任。