内藤 そういえば、NYには築古の物件が対象で、相場に比べて家賃が安い「レントスタビライゼーション(家賃安定化法)」という法律がありました。これも、まだまだ継続しそうですか。
池田 NYはつねに民主党政権ですが、継続する限りそうでしょうね。仮に共和党が政権を奪取したら廃止するかもしれませんが、それは現実的な話ではありません。仮にレントスタビライゼーションがなくなると、NYの家賃相場は下がるでしょう。
内藤 家賃の縛りがなくなるのですから、高くなるのでは?
池田 どうなるかというと、いまNYには300万世帯があり、そのうち100万世帯がレントスタビライゼーションの対象で、家賃はマーケットの半額くらいになっています。そこがいきなり抜けると、全体で家賃の適正化が図られ、残りの高すぎる200万世帯の家賃が下がっていくのです。
内藤 いまは、100万世帯の家賃が安すぎるから、残りが割高になっているというわけですね。それが解消されると。
池田 その通りです。3分の1が法律で守られているので、残りの物件は家賃を高くせざるを得ません。ですが、レントスタビライゼーションがなくなると、そうしなくてもすみます。
内藤 現実的な話ではありませんが、可能性はゼロではありませんからね。
いずれにしろ、池田さんのお話で、NY不動産の現状を知ることができました。ありがとうございます。日本人の投資家にとっても魅力的な面はあるでしょうね。
池田 NYには日本人も含め世界中から成功者が集まり、この場所に不動産を所有したいと考える人も少なくありません。ハワイだと老後の実需で買いたい人が目立ちますが、NYは現役で、まだまだ勝負をかけたい人が多く、だからこそ不動産投資にも目が行くのだと思います。非常にパワーのある、魅力的な町です。本日はありがとうございました。
池田将洋(いけだ・まさひろ)
Ikigai Realty パートナー
大学時代サッカーで日本一になり、自身もプロを目指す。サッカー引退後は日本リクルート社に入社して、不動産業界を担当。リクルート退社後、ニューヨークに渡米、不動産会社に入社。2年目でトップ営業になり、3年後からは自身でも不動産投資を始め、パートナーシップでニューヨークに不動産ビルを所有。現在は、不動産会社 Ikigai Realty をパートナーと共に設立した