資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、資産形成にまつわる悩みや質問に答える、本シリーズ。今回のテーマは、近年、多くの金融機関で導入が始まっている「ロボアドバイザー」について。投資家にとって、メリットはあるのでしょうか。ーーー
ロバアドバイザーを使うメリットとは?
Q(質問者):最近は証券会社などで、人間ではなくAIが運用をサポートする、「ロボアドバイザー」の活用が進んでいます。とはいえ、機械に資産運用を任せるのは、不安もつきまといます。内藤さんは、どのように考えていますか。
A(内藤氏):資産配分を人間ではなくロボットが行う「ロボアドバイザー」のサービスに参入する金融機関が増えています。
ベンチャー系ではお金のデザイン、エイト証券、ウェルスナビといった企業が既にサービスを開始していますが、大手金融機関のブラックロック、大和証券、松井証券といった会社も追随しました。ようやく、出そろったといったところです。他にもFXの分野でもAIが運用をサポートするなど、さまざまな金融商品で活用が進んでいるようです。
ロボアドバイザーの強みはコストです。証券会社などが提供しているラップ口座は年間の運用コストがトータルで3%近くになることもあります。6%で運用しても、手数料で半分持っていかれることになり、これではなかなか資産は増えません。
ロボアドバイザーならコストは、ほとんどが1%以下で、今後さらに競争が激しくなればコストが下がり、最低投資金額も小さくなっていくことが予想されます。金融商品を使った運用はコストが重要ですから、これは魅力的です。
問題は、果たしてどのような運用成果になるかでしょう。多くのサービスは投資家にいくつかの質問をして、リスク許容度や投資目的を判断し、ETFや投資信託を組み合わせて、その人に合ったポートフォリオを提案する仕組みになっています。
自分でインデックスファンドを組み合わせた運用を行えば、運用コストはロボアドバイザーよりもさらに引き下げることが可能です。自分で運用するよりも高い運用成果をもたらすことができれば、お任せで運用するという選択肢もありだと思います。しかし会社によって運用方法は異なるため、果たして期待するような成果が出るかどうかは、しばらく実績を見極める必要があります。
今後リーマンショックのような金融市場の大変動が発生した時、ロボアドバイザーの性能の真価が問われることになります。
自分で資産配分するのが面倒なので、お任せで運用して欲しいという人にとっては便利なサービスと言えます。ただし、運用方法については、面倒くさがらずに事前にしっかりチェックすべきです。