こうした優位性をまざまざと見せつけたのが昨年秋、創業175周年を記念してスイス ジュネーブ郊外にあるパテック フィリップ本社で開催された式典だった。
スパイラル・モニュメントが設置され、地上4階にかけて吹き抜けとなった本社正面エントランスをパーティ会場として、創業から現在までを巨大マッピングショーで辿る。
続いてフィリップ・スターン名誉会長、ティエリー・スターン社長が壇上に立ち、妥協なき時計製作の歴史を継承し、これを次世代へと繋いでいくことの決意が述べられた。
そして、巨大スクリーンには同社が製作した最も複雑な腕時計であり、生まれながらにしてミュージアム所蔵ピースの一つとなるパテック フィリップ175周年記念モデルを象徴する、ご覧の「グランドマスター・チャイム」の開発から完成に至るまでが映写された。16か国、300名を超すジャーナリストたちを圧倒した瞬間だ。
パテック フィリップ初となる時をチャイムで知らせるアラームとグランドソヌリ、プティットソヌリに加えてミニット・リピーターほか20にも及ぶ複雑機能を備えるブランド史上最も複雑な腕時計「グランドマスター・チャイム」は、7本が製作され、うち1本はジュネーブにあるパテック フィリップ・ミュージアムに収蔵された。時価約3億円。即完売だった。
レギュラーモデルも含め、開発から設計、製造に至るまで社内の技術者が行い、愛用者には見ることができない仕様であってもムーブメントの地板には伝統的な紋様が施され、歯車の裏側まで丁寧に磨きこまれる。すべての機械式時計のムーブメントには、パテック フィリップ・シールが刻印され、経営者であるスターン親子がその品質を保証する。