〜ミュルザンヌ ホールマーク シリーズ by マリナー〜
(全世界50台限定車)
ミュルザンヌはベントレーのフラッグシップモデルで、4ドアセダンの頂点に君臨するラグジュアリーサルーン。これに匠が手を加えたことで生まれたのが「ミュルザンヌ ホールマーク シリーズ by マリナー」だ。超一流の宝石職人が取り扱う最高級の貴金属と贅沢な素材から着想を得た特別仕様車で、世界で50台しかない。ミュルザンヌとミュルザンヌ・スピードに設定され、日本で扱うのは2台のみ。
最高級の貴金属をイメージしたこともあり、ミュルザンヌ ホールマーク シリーズ by マリナーでは、シルバーバージョンとゴールドバージョンの2種類を用意。今回展示されていたのは前者だが、ノーズに着く格納式のマスコット「フライング B」は品質保証された純銀を削り出して製作、後者の場合は仕上げに金メッキを施す。片側には注文制作の刻印、反対側には「By Mulliner」の刻印がつき特別感を演出した。
エクステリアカラーはシングルトーンとデュオトーンから選ぶことができ、展示車は暗めのシルバーとメタリック調のダムソン(スモモ色)のデュオタイプ。サイドボディいっぱいにもシルバーまたはゴールドで優美なラインが手作業で描かれている。
ゴールドやシルバーのあしらい、デュオトーンはグローバルで選ばれているカラーや配色で、例えばベントレーの知名度が高い欧米のエグゼクティブにとってはスタンダード。マンハッタンや欧州の城下町では景色に溶け込み様になるだろう。
インテリアにもこだわりが。ひときわ目を引くのは、前後シートのレザーハイドがコントラストカラーになっていること。これも、国内カーブランドには見られない配色の妙だ。
ミュルザンヌは高級サルーンなので、ビジネスユースも想定され、オーナーによっては普段はリアシートの身をゆだねることが多いかもしれない。一方で、ベントレーの根底にあるのは「ドライバーズカー」。ステアを握る楽しみもあり、シートカラーをコントラストにすることで、一台のクルマながら異なる雰囲気を味わえるという狙いがあるのだろう。
シートやドアパネルのレザーハイドには繊細なキルティングに加え、ステッチやパイピング、刺繍にも選んだバージョンカラーを配し、ドアトリム上部にはシルバーか金メッキのトリムが象嵌細工で装飾、中央にはベントレーのエンブレムが。「1 of 50」といったモデル番号入りのイルミネーション付きトレッドプレートもあり、豪華と優雅、レア感がバランスよくまとまっている。
ベントレー特有で、オーナーにしかわからない特別で豪華な収納スペース、「ヒドゥン・ディライト(隠された喜び)」も同モデルでは採用されている。ストレージ内部は鮮やかな色彩の内貼りが現れる仕様で、これは日本人が着物の裏地を派手にしつらえ、自分だけのおしゃれとして楽しむ感覚に似ている。
リアシート中央にはシャンパンホルダーもあり、このクルマは移動のためだけではなく、その空間や存在自体を満喫し、オーナーに快感をもたらすことがわかる。
標準車に比べると差額があり、車両本体価格は5047万9880万円(税込)。世界に50台しかない希少性、さらにはベントレーとマリナーの総力が結集した、このモデル。所有欲や満足感を大いに満たしてくれるだろう。