ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

インタビュー | THE RAKE 編集長 松尾健太郎

E:H&Mやユニクロをはじめとするファストファッションの登場は大きいですね。洋服に興味がなくてもそれなりに見えます。

松尾「ユニクロ以上の洋服はいらない、という人たちも多いでしょうね。ファストファッションと高級ブランドの間が欠落してるような気がします。セレクトショップさんに足を運ぶと、今までボリュームゾーンだった10万円弱のスーツが売れていないとよく耳にします。売れるのは3万円のスーツか、20万円のスーツかどちらか。これはどこのセレクトショップに行ってもみなさん言われますね」

E:今後の『THE RAKE』の方向性について教えてください。

松尾「直近的にはイタリアに特派員がいるので欧州の最新情報を届けていきます。ただ商品を羅列するのではなくて、そのバックにある歴史なんかも紹介していく。単にカタログとして見せるのではなく、欧米の富裕層ってそれなりの趣味と教養があるので、なにを着て、なにを食べて、なにを運転して、どこにバカンスに行って、どんな家に住んでるのか、そういったことを取材してお伝えしたい。日本の富裕層って形成途中なので、本人たちもお金をどう使ったらいいのか迷っていると思うんです。だからそこは欧米の古い富裕層のライフスタイルを見習いたい。彼らはファッションもひとつの教養として捉えているんです。これまでファッションに興味のなかった富裕層の方に、そういったことも伝えていきたい」

E:エンリッチで松尾さんが連載されているコラム The Style Concierge(ザ・スタイル・コンシェルジュ)もファッションのノウハウをわかりやすく教える内容ですね。とても人気です。

松尾「ありがとうございます。エンリッチのコラムでは、これまでビジネスに夢中で身の回りに手が回らなかった方をイメージしてQ&Aのページをやっています。『良い靴やスーツに興味があるけど、どこから手を付けていいか・・』という方向けの連載。主にかっちりした格好をするにはどうすればいいのか悩んでる方にアドバイスをしています。」

E:最後になりますが、松尾さんにとってのファッションとは?

エンリッチ 松尾氏

「これは深い問題ですね。僕もファッションとはなんだろうと真面目に考えることがあって。僕のブログでは週1回、知り合いのオシャレな方をUPしてるんですけど、そこで『あなたにとってファッションとはなんですか?』と聞いています。というぐらいファッションとはなにかということに僕自身気になっているんですが、なんなんですかね、これけっこう深いんですよ(笑)。パーソナルな意味でも深いと思うし、人類史的に見ても我々が思ってる以上にファッションとは古いものなんです。本で読んだ話ですが、アフリカの洞窟で数万年前の人類の化石とともにアクセサリーらしいものが出てくると。人類の残した遺跡の中でも一番古いくらいの洞窟らしいけど、内陸部であるにも関わらず遠く離れた海岸からとってきた貝殻のアクセサリーが大量に出てきた。ということは数万年前の有史以前にもファッションはあったということ。そう考えるとファッションって、装う欲って、食欲とか睡眠欲と同じくらい大昔からある気がして。サルって装いをすることはないじゃないですか。装うということが人間を人間たらしめている根源なのかなと。そう考えるとファッションって相当深いテーマだなと。『ファッションとはなにか?』を考えることが僕のテーマですね」

 
『THE RAKE』は奇数月の発売。松尾編集長が届けてくれる世界基準のラグジュアリーな世界に注目である。

エンリッチ編集部

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