Q
「接客で気をつけているのは、どんな点ですか?」
A
「押さないこと、でしょうか」
——そんなお客様に対して、どのような接客を心がけているのでしょうか?
「とにかく“押さない”こと、でしょうか? 『お似合いですよ』という言葉も簡単には言いません。ウチにいらっしゃる方は、お忙しい方が多いので、とにかくリラックスして頂くことを心がけています。ただ話をしにくるだけのお客様もたくさんいらっしゃいます。お茶を飲んで、半日店にいて、そのまま『じゃあね』とお帰りになる方も大勢いらっしゃいます」
——富裕層向けに、御社ならではのサービスはありますか?」
「ジリーやテクノモンスターなど、世界の超高級ブランドに、直接カスタムオーダーがかけられます。例えば、クロコのバッグの仕切りを取るとか、素材をシャムクロコではなく、より高級なポロサスにして欲しいなど、先方と交渉し、お客様のご希望に合った品をお作りすることができます」
——どうしても敷居が高そうに思えてしまうのですが・・・
「そんなことはありません。毎週土曜日に必ずやってくる大学生の方もいます。もちろん今までに、一度もご購入されたことはありません(笑)。ウチのお店は、美術館や博物館のようなものかもしれません。最高のものが揃っていますから、それらを見に来るだけでも、楽しんで頂けると思います」
Q
「普通の価格帯と、超高級価格帯では、トレンドに差がありますか?」
A
「高級品のほうが、かえって大人しかったりします」
——高価格帯ならではのトレンドはありますか?
「そうですね、高級品のほうがデザイン的に尖っていないと思います。皆さん長く着たいと思われていますから。素材的には、カシミア、クロコダイル、エレファントなどが人気です。ただ素材感はキラキラしておらず、すべてマットなものが人気です。余計な色味は使わず、上品に仕上げたコーディネイトがおすすめです」
——高級品は同じカシミアでも、手触りが違いますね。
「ジリーにおいては、カシミアも世界最高品質のものだけを厳選しています。中にはグァナコやチンチラとの混毛なども。ですから他のものとは全然違います。とにかく素材のよさを追求していくのが、富裕層向けファッションの特徴だと思います」