春夏のシーズンが到来し、新しいアイテムに食指が動く季節となった。そこで今回は、メンズ・セレクトの雄、ビームス・グループの中にあって、クラシックかつアップデートされたスタイルを提案する“ビームスF”の西口修平氏にご登場頂いた。
西口氏はビームスFのバイイングを統括される傍ら、自らの着こなしを披露する、ファッショニスタとしても活躍されている。そのスタイルは世界的な注目を集めており、インスタグラムのフォロワー数は、10万を上回るという。
そんな西口氏にこの春夏、すぐに取り入れられるお洒落のアイデアをうかがった。メンズ・ファッションの大きな転換期と言われる昨今、誰でもお洒落になれる、とっておきのアイデア集である。
今回の Concierge
西口修平さん(ビームスF ディレクター)
1977年、大阪府生まれ。古着店やデザイナーズブランドを扱うショップで働いたのち、クラシックに目覚めビームスに入社。梅田店や神戸店にて約10年間販売職を経験したのち、バイヤーとして抜擢され上京。2014年から現職。クラシックをうまくツイストした着こなしが注目され、インスタグラムのフォロワー数はビームス・スタッフ随一の10.8万人を誇る(2月25日現在)。2019年10月には初のスタイルブック『Nishiguchi’s Closet』を上梓。自らのお洒落術を開陳した。最近では、ジャケット・スタイルにウエスタン・ブーツを合わせるなど、さらにハイブローな着こなしに挑戦しているとか。
Q
「今シーズンのトレンドを、ざっくりと教えて下さい」
A
「リゾート感とフレンチアイビー、そしてモノトーンでしょう」
——今シーズン、春夏のトレンドは、どんなものでしょうか? あくまでもクラシックの世界での話ですが・・
「イタリアのピッティ(フィレンツェで行われる、メンズ最重要の展示会)に行って感じたことが、3つあります。まずは“リゾート感”ということです。リゾートと言っても、ジャージにTシャツとかではなくて、ビームスFで押していきたいのは、ちょっとレトロな昔風のリゾートスタイルです。ピンク、イエロー、オレンジなどの、鮮やかな色使いに注目したいですね」
——なるほど、これらを差し色として使うのですね。ふたつめは?
「フレンチアイビーです。アイビーというのは、アメリカ人による英国趣味の解釈ですが、フレンチアイビーは、さらにそれをフランス人が再解釈したようなスタイルです。まぁ、イタリア人とかは、決して“フレンチ”とは言わないですが、確実に影響されていますね。これは1990年代あたりに日本でも流行したスタイルなので、松尾さんはご存知だと思いますが・・」
——はい、よく知っています(笑)。しかし言葉で説明するのは、なかなか難しいですね。追々、具体的なアイデアを紹介しながら、フォローしていって下さい。あとのひとつは何ですか?」
「あとはモノトーンです。これは前々シーズンくらいからの傾向です。今まで紺や茶ばかりで、黒を着なかったイタリア人ですら、本格的にブラックを着始めています」
——男の装いの基本色は、長らく“ネイビー”だとされていましたが、それがブラックにシフトしているということでしょうか? それでは、具体的なアイデアのご提案をお願い致します。
アイデア1
「とにかく“黒”を着ましょう」
——これは一見普通のネイビーブレザーに見えますが?
「いいえ、これは実はブラックなのです。確かに金ボタンがつくなど、ディテールは従来のネイビーブレザーと同じなのですが、今シーズンはブレザーを買うなら、ブラックを選ぶと新鮮です。しかも、素材は贅沢なサマーカシミアをチョイスしてみました。今季、イチ推しのジャケットです」
——合わせているインナーもブラックでしょうか?
「インナーもブラック、あえての黒×黒です。夏のインナーはニットがおすすめですね。ここでパープルやボルドーなどの差し色を持ってくるのもいいでしょう。パンツとシューズも、モノトーンでまとめてあります」
——パンツはタックが入った、ゆったりしたシルエットのタイプですね。
「そうです。パンツのシルエットは、年々太くなっています。今ではプリーツ入りが、ノータックより売れるようになりました。ちなみに今までは、夏の足元は素足がお約束でしたが、それはあくまでも丈が短めのパンツの場合です。こういったクラシックなシルエットのパンツだと、ソックスは履いたほうがいいと思います。本日のパープルのように、靴下に差し色を持ってくるのもありですね」
——アクセサリーも素敵なものをお着けになっていますね。
「最近、男がお金をかけるべきところとして“ジュエリー”に注目しています。ビームスFでも、シンプルなものを中心に、数多く取り揃えています。英国ならではのホールマーク(純度を証明する打刻)が入った“バニー”はおすすめです」