資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルと投資談議に花を咲かせる、この企画。6月のテーマは、国内不動産投資。その中でも「1棟中古物件」にフォーカスする。東京都内の個人投資家向け一棟収益不動産専門の不動産会社・執行役員を務める金田大介氏をゲストにお招きして、対談が始まった。
国内1棟不動産投資のマーケット
内藤 金田さんは、東京都内で1棟収益専門の不動産会社の営業マンとして活躍なさっていて、年間取引数は30件、取引規模は45億円にものぼるとお聞きしています。顧客のリピート購入率は70%を超えるそうですね。先日は、私が主催するセミナーのゲスト講師としてもご協力いただきました。その節は、ありがとうございます。
金田 こちらこそ、ありがとうございました。私は不動産業界歴が約10年で、以前は不動産ファンドや一般事業法人の売買取引に従事していましたが、リーマンショック以降は個人投資家向けの収益物件の売買市場へ参入し現在にいたります。取り扱い物件は全国主要都市の5,000万円~3億円の一棟収益物件です。
内藤 最初にお聞きしたいのは、国内における1棟モノ収益物件を取り巻く投資環境についてです。
金田 1棟収益不動産の顧客層は、資産家や富裕層、ハイクラスのビジネスパーソンが中心でしたが、昨今は「サラリーマン大家」という言葉が一般的に浸透したこと、その方々が給料以上に不労所得を獲得し成功されている事例が多く、口コミによる顧客の購入ニーズは高まるばかりです。市場環境は、2008年のリーマンショック以降の底から、元の水準に戻りました。多くの人は「価格が上がった」と言いますが、それは当時(2009年頃~2013年)の割安な時期から比べた相対的なものであり、」過去10年を遡った視点で見ると「元の市場価格に戻った」と感じています。
とはいえ、関東エリアの都心部はアベノミクスの影響もあり価格高騰しておりリスク許容度を考慮するとサラリーマン投資家は手を出すべきでは無いと考えられます。
一方で、我々が主に扱う地方都市の物件は、経済情勢に大きく影響されることなく高い利回り、安定的な賃料収入を確保することが可能でしょう。
内藤 金融機関の融資状況はいかがですか。
金田 サラリーマンの方々に対しても融資は積極的で、前向きな金融機関が目立ちます。現在の市場や融資環境を知り1棟不動産投資に関心を持つ方は増えています。しかし、各銀行とも職業や年収によって融資姿勢が異なるのも事実で、顧客によって様々なプランがあり、その点が我々のお役立ち出来る点と思っています。
内藤 買い手は多いのに売り物件は少ないので、都心部を中心に価格の上昇やそれに伴う利回りの低下は、私もよく耳にします。ところが地方都市だと出遅れ物件があったり、必ずしもアベノミクスに直結しているわけではなく、両者で温度差も見られるようですね。