お金持ちの人は一般的に幸福度が高いといわれる。一方で、お金持ちになっても精神的な満足を得ることはできないという話もある。これはどちらが本当なのだろうか。
幸福感を決めるのは人生の選択肢
お金があると幸福感を感じやすいというのは、お金を派手に使って豪勢な生活ができるからでも、人がたくさん寄ってくるからでもない(一部にはそうした生活を強く望む人もいるだろうが)。経済的に余裕があると、人生における選択肢が増えるので、それが満足度につながっている可能性が高い。
経済的な余裕があった場合、今の仕事がどうしても嫌になったり、自身や家族が重い病気にかかった時には、思い切って仕事を辞めてしまうという選択ができる。また何らかの理由で人間関係が悪化したり、地域の住み心地が悪くなった時には、転居するのも容易だ。さらに資産額が大きくなれば、海外に移住することも不可能ではない。
現実に転居したり、仕事を辞めることはないにしても、いつでも場所を変えられる、いつでも仕事をやめられるという選択肢があると、精神的な負担はかなり軽くなる。お金持ちの人が思いきった行動を取れるのも、こうした事情が関係している。
では、お金持ちになっても幸福感を感じられないという話は、お金を持っていない人の妬みであり、ウソなのだろうか。実は、お金持ちになっても不幸だという話も本当であり、決してウソではないのだ。両社は完全に矛盾する話だが、これについてはどう考えればよいのだろうか(ここでは人それぞれなので違うという話は除外する)。
この話のポイントは、お金持ちで、かつ幸福な人は、お金を持ったことで幸福を実現したわけではないという点に尽きる。
先ほど、お金持ちの人は人生における選択肢がたくさんあり、これが幸福感につながっていると述べたが、成功者というのは、実はお金がない時から、人生において数多くの選択肢を持っていることが多い。もちろんお金持ちに比べれば、限界はあるが、どんな時でも複数の選択肢を持ち、その中でベストな決断をするという価値観が当初から徹底しているのだ。
もっと分かりやすく言えば、投資を決断できることや起業や転職を決断できるということ自体が、人生において多くの選択肢を持っている事を意味している。これは資産の大小とは直接関係しない。
そうだからこそ、チャンスが巡ってきた時には、安定した生活を捨てて、そのチャンスに飛び込むことができるし、それ故に成功した時にリターンも大きくなる。つまり、お金持ちで幸福な人は、実は、お金がない時から、それなりに人生の満足度が高かったと考えられる。
そのような人は、結果として成功する確率が高く、成功して経済的な余裕ができると、さらに選択肢が拡大するので満足度もアップする。まさにこれはプラスの循環といってよいだろう。