2002年の創立以降、「お金の教養講座」「株式投資の学校」「不動産投資の学校」など、多岐にわたる独自カリキュラムにより、日本人の金融リテラシーの底上げに貢献してきた「ファイナンシャルアカデミー」。約5年前からは、全国の小学校、高校・大学を対象にお金について学ぶ「金融経済教育事業」に社会貢献のひとつとして着手している。その狙いや効果のほどは? 代表の泉正人氏に尋ねてみた。(前編を見る)
これから10年をかけて
“お金を学ぶ文化”を根付かせたい
創業から13年間で、33万人もの受講者が参加した、ファイナンシャルアカデミーの授業。現在も授業に通う生徒が6000人もいる。多くは25歳~40歳の社会人で、経済的な自立や安定、あるいは資産運用の具体的手段について学びたいという人は多いということだ。
「いま景気は持ち直していますが、いつまで続くかわからず、むしろ給与が下がっている人もたくさんいます。年金だって不安でしょう。そういったなか、お金を単に『稼ぐ』『貯める』『消費する』『節約する』と捉えるのではなく、正しく向き合うために教養のひとつとして考える時代になった証拠です。本来は『扱う力』『増やす力』だって求められのですが、私たちは『良い大学・会社に入りなさい』『貯金しなさい』としか教えてこられませんでした。そんなしわ寄せを、ファイナンシャルアカデミーを通じて解消していただきたい」
こう話すのは、ファイナンシャルアカデミー代表の泉正人氏。自身もお金では苦労を味わった。
「お金はたくさんにあっても、あるいは与えられても、根本的な問題は解決しません。『貯金しろ』と教育されてきたにも関わらず、多くの人は豊かではなく、私もそういったひとりでした。どれだけ収入があっても使い方を間違えれば貯まりませんし、扱い方を間違えると凶器にもなります。実際に、世の中の事件の大半がお金絡みなので、だからこそ、正しく扱うため、お金の教養が必要なのです」
こういった考えもあり、泉氏は創業してから一貫として社会人を中心に金融経済教育の普及に努めてきた。そして、2010年からは、子供や若者に対しても、「金融経済教育授業」に取り組み始めている。
「きっかけは大人に対するのと同じで『絶対に知っておいたほうがいい』と思ったからです。お金のバランスが悪いことで不利・不便な大人はたくさんいて、若いうちから学んでおけば、転ばぬ先の杖になります」
金融経済教育授業は、これまでに東京都内の小学校、高校、大学を中心に実施されてきた。
例えば小学校であれば、東京都大田区・世田谷区の教育委員会の推薦を得て始め、これまでの実施校は、16 校。年40回ほどの開催で、延べ2000組の親子が参加。