すでにボルボXC90の回でも記したが、今年はSUVの当たり年となる。先日オーストリアのキッツヴィールで試乗したメルセデスのGLEとGLEクーペはそのひとつで、ある意味王道の登場といえそうだ。
ではGLEはナニモノなのか?
このクルマはこれまででいうところのMLを指す。今回のモデルチェンジを機にネーミングの変更が行われた。
また同時に既存のGLはGLSとなり、GLKはGLCとなったのも付け加えよう。GLのあとにS/E/C/Aといったセダン系の文字を列ねSUV独自のラインナップを構築したのだ。つまり、GLEはメルセデスSUV群の中でEクラスのポジションに位置することを示す。
ただ、それだけではおもしろくないということで、GLEクーペなる派生モデルが登場した。ご覧のようにクルマの後方をクーペのようにスタイリッシュにしたモデルである。
いうなればメルセデス版BMW X6のようなもの。が、メルセデスの開発陣はこんなことを言っている。「我々はこれまでいろいろなカテゴリーを開拓してきた」、と。曰く、4ドアクーペのCLSやラグジュアリーSUVのMLがそれに当たるらしい。そう考えれば、GLE クーペはCLSをML風に仕上げたといえなくもない……。
ちなみに、MLはラグジュアリーSUVのパイオニアだ。デビューは97年で、それ以前にプレミアムブランドのSUVは存在しなかった。BMW X5は99年、ポルシェ・カイエンやボルボXC90は2002年からとなる。
MLの開発スタートは90年代頭だったという。もちろん、その頃はまだSUVブームの兆しさえなかった。なので、“一応”のライバルと想定したのはグランドチェロキーだった。確かにいま考えれば、92年にリリースされたグランドチェロキーはラグジュアリーSUVに片足突っ込んでいたかもしれない。ウッドパネルとレザーシートがそんな雰囲気を醸し出していた。