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モンブラン国際文化賞を熊川哲也氏が受賞

モンブラン

音楽や絵画、そして時計…。すぐれた芸術や宝飾工芸品が作られた背景には、中世にさかのぼり、伝統的に王侯貴族らパトロンの存在を欠かすことができない。Noblesse Oblige(ノブレス・オブリッジ)。身分の高さは相応の義務を負う。

こうした理念の一端を現代へと継承するのがモンブラン国際文化賞。万年筆をはじめとするドイツ最高峰筆記具をルーツとするブランド、モンブラン文化財団が1992年に創設したもので、年に一度開催されるこのアワードにおいて、同文化財団は、地道な努力と献身的なはたらきによって、芸術家たちを成功に導く人物を讃えてきた。

今年(2015年)のモンブラン国際文化賞は、日本はもとより中国、フランス、イタリア、韓国、メキシコ、スペイン、英国、アメリカ、スイス(今年度初)で開催。11人のアートパトロンたちが、過去の受賞者の格式高いリストに加わることに。なお過去の受賞者には、英国皇太子殿下、イタリアの建築家であるレンツォ・ピアーノ氏、そして日本ではオノ・ヨーコさんや歌舞伎役者の市川猿翁(えんおう)、世界的指揮者の小澤征爾さんに授与された。受賞者は、各国の芸術界の影響力のある重鎮たちからなる審査員団によって選ばれる。2015年、日本からは、佐藤可士和(さとうかしわ)さん、河瀬直美(かわせなおみ)さんが審査に加わった。

熊川氏 集合
そして第24回モンブラン国際文化賞授賞式がこのほど(2015年7月23日)、増上寺 光摂殿 (東京都港区芝公園)で開催された。今年度の受賞者は、クラシックバレエダンサーの熊川哲也氏。

デヴィ・スカルノ夫人、友人でもある東儀秀樹氏、マキシム・アラール氏(モンブランジャパンCEO)が登壇して祝辞を述べた。2009年度の同賞受賞者であるコシノジュンコ氏ら著名人も駆けつけた。


 
日本におけるクラシックバレエの伝統向上へのほぼ20年に及ぶ献身が認められ、また将来を嘱望されるダンサーのために本式の専門バレエ団や適切な専門トレーニングを提供してきた貢献が評価された。ロンドン ロイヤル・バレエ団のトップスターだった熊川氏は1998年に同バレエ団を退団。母国日本におけるバレエ芸術の普及・発展を願って帰国。既存のバレエ団には、氏の基準に見合う所がないとして、独自の「Kバレエカンパニー」を立ち上げる。短期的に彼が目指したのは、日本の一般大衆に最高クラスのクラシックバレエを提供すること。凱旋帰国のヒーローとして迎えられた熊川氏は、主役ダンサー、教師、芸術監督としての役割を同時に担った。また、2003年に熊川氏は、自らの経験に基づき、指導に当たる教師には資格取得を義務づけ、確固たるカリキュラムを取り入れた、Kバレエスクールの開校を実現。それ以降、Kバレエスクールは、国際的に活躍する数多くの才能に溢れたダンサーを輩出している。

モンブラン ジャパンのマキシム・アラールCEO
モンブラン ジャパンのマキシム・アラールCEO

こうした熊川氏の功績を称えるため、登壇したモンブラン ジャパンのマキシム・アラールCEOは、「私たちモンブランは、100年以上にわたって、色あせない価値と洗練されたクラフツマンシップの伝統を育んできた。デザイン、スタイル、品質、そして職人わざに対する妥協を許さない鉄則があってこそ、世代から世代へと代々受け継がれるコレクションを綿々と作り続けることをモンブランは実現しているのです。芸術家や表現者たちの功績を讃えるアワードは数多く世界に存在する。しかしモンブラン国際文化賞は大変めずらしいアワードです。芸術家たちへのスポットライトの影で、芸術家たちへの揺るぎない支援を通して文化芸術の発展に力を尽くしている人物に光を当てたアワードなのです。熊川哲也さんは、日本を代表するクラシックバレエダンサーであり続けていますが、日本におけるクラシックバレエの発展に15年にわたる尽力に対して、モンブラン国際文化賞が贈られます。未来を夢見るダンサーのためにプロフェッショナルなバレエ団を創立し、専門訓練の場を与えていることも注目に値します」などとスピーチした。

松田 朗

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