大きなお金を稼ごうと思う人にとって情報は武器である。すでに多額の資産を築いた人にとっても、資産防衛のために情報は引き続き重要だ。お金持ちにとって情報は、生きていくために必要な道具といってもよい。
*この記事は2015年10月に掲載されたものです
多くのニュースは癒やし系として作成される事実
情報を有益なものにするためには、情報が持つ特性から自由になることである。世の中には、受け取る人が心地よくなるよう操作された情報が多い。特にマスメディアで提供される情報はその傾向が顕著である。このバイアスをうまく回避できるようにならないと情報の達人にはなれない。
マスメディアで提供される情報がそのように操作されるのは、読み手の多くが、情報を情報としてではなく、願望として処理したいと思っているからである。マスメディアはボランティアではない。れっきとした商売なので、そうした読み手に合わせてコンテンツの内容を作っていくのは当然のことだろう。
新しい技術が外国で開発されたという話題があった時、その技術は日本にとって脅威になるかもしれないといったトーンの記事を書くと、その媒体には一定数「悲観的なことばかり言うな」「なぜ日本をダメにするようなことしか言わないのか?」といった抗議が寄せられる。筆者はジャーナリスト出身なので、このあたりは皮膚感覚としてよく分かる。
日本の優位性を願っているなら、本来、こうしたライバルの出現にはことのほか敏感であるべきだ。相手の脅威はより敏感に、相手の弱点については過小評価するのが本来の姿である。しかし、こうした情報を望まない人がかなりの割合で存在するのだ。
このため、メディアでは、ニッポンガンバレ!といった記事がズラズラと並ぶハメになる。だがお金持ちにとっては、うまくいっているところを再確認するだけのヨイショ記事はほとんど意味をなさない。これからどのような変化があるのかを知りたいからである。
こうしたヨイショ系の情報を求める人は、基本的に自分、あるいは自分達を優しく励まして欲しいと思っている。だが、こうした癒やし系の情報ばかり欲していては、当然、競争に勝てるわけがない。自分にとって都合の悪い情報ほど、自分にとって有益であることが多いというのが現実なのだ。
お金持ちになれる人は、このあたりの峻別がしっかり付いており、自分が嫌な情報ほど積極的に取り込んでいる。
せっかく事業や投資で成功したのに転落してしまう人は、成功して気が緩み、こうしたマイナス情報を受け付けなくなってしまっていることがほとんどである。
継続して富の拡大に成功している人は、資産額が大きくなればなるほど、情報にますます神経質になっている。資産家になったのに、これでは楽しさも半減だが、こうしなければ資産は守れないし、それを負担に思うようでは、そもそもお金持ちになどなれない。
世界最大の半導体メーカー「インテル」の創業メンバーのひとりであるアンドリュー・グローブ氏は、パラノイア(偏執狂)だけが生き残れると主張している。ニュースに「そうだ!そうだ!」といった感覚を求めているなら、まだまだお金持ちへの道は遠いかもしれない。