マイナンバーをもらえない海外居住者が、日本国内の自分の口座に送金できないという問題がネット上で話題となっている。海外に赴任する人は、原則として住民票を抜く必要があるが、現行法では住民票がない人にはマイナンバーが交付されない。また銀行がマイナンバーがない場合、海外からの送金を受け付けないことが原因と思われる。
内閣府はこうした事態を受け、マイナンバーがないことだけを理由に銀行が送金を受け付けないことはないとの見解を示している。しかし、口座の所有者が海外に居住していることについて正式に届出をしておく必要があるという曖昧な判断も残っている。
このところネット上では、海外居住者が国内にある自分の口座にお金を送金しようとすると、マイナンバーがないため送金を拒否されてしまったとの報告が相次いでいる。送金できたという報告もあるが、基本的には多くの送金がストップされているようである。
銀行業界は、マイナンバー制度の導入に伴い、投資信託の買付、NISA(少額投資非課税制度)口座の開設、海外送金などの際にマイナンバーの提示を求めることを正式に決定している。この決定が現場で実施されていれば、ほとんどの銀行では、マイナンバーがない場合、たとえ本人からの送金であっても受け付けないという状況が発生する可能性が高い。
現行法においてマイナンバーは、海外赴任者など日本に住民票を置くことが許されていない人には交付されないので、もし銀行が一律に対応している場合には、送金は拒否されてしまうだろう。
これまで海外に居住する人は、国内に存在する口座をすべて閉鎖することが大前提となっていた。これは、昭和の時代、大企業のエリート社員が会社丸抱えで海外赴任することを前提とした仕組みである。