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ベントレー初のSUV“ベンテイガ”

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このクラスのSUVが今後次々リリースされるのはすでにニュースになっているので目にした方も多いことだろう。マセラティがレヴァンテ、ランボルギーニがウルスという名でコンセプトカーを発表している。ひとつクラスは下がるが、ジャガーもFペースなるシロモノを用意中。これでカイエンターボやゲレンデヴァーゲンのAMGもうかうかはしてられないだろう。

といった流れの中での一番手がこのベンテイガとなった。もうすでに昨年末からヨーロッパで販売を開始しているが、今回はアメリカでの試乗となる。場所はロサンゼルスから西へ行ったパームスプリングス。ゴルフリゾートしても名を馳せる街だ。

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目の前に現れたベンテイガは存在感が強く、ボリュームも大きかった。スクエアなボディラインは個性的で、まるで装甲車といった雰囲気もなくはない。5mの全長とSUVならではの背の高さがそんな印象をもたらす。ただ、ベントレーのアイデンティティとなるグリルやヘッドライトの形状からこのクルマがそのファミリーであることを表現する。タダモノではない雰囲気プンプンである。

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そんなエクステリアに圧倒されながらインテリアを覗き込む。するとこれまでより増してゴージャスな世界が広がる。ウッドやレザー、メッキのスイッチといったクラシカルな素材をモダンに配置している。どことなく“新しさ”があるのがいい。

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もちろん、ディテールもかなり凝っている。ブライトリングのアナログ時計はそのひとつだろう。コンチネンタルGTシリーズとはまた違ったデザインでこのクルマの性格を表している。

エンジンは6リッターW12が搭載される。これは既存のユニットに手を加えたもの。最高出力は608psで、最大トルクは900Nmを発生させる。0−100km/h加速4.1秒はスーパーカー並み。最高速度301km/hも期待以上だ。

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最高速度は301km/hに達する

新しく手を入れたのはインジェクターで、直接式と間接式を組み合わせた。これにより効率のいい燃焼が出来、大幅な燃費改善を行っている。また、他のモデルが2016年型から可変シリンダーシステムを搭載しているのと同様に、それも採用した。

興味深いのは今回彼らはSUV用にこのエンジンを再設計したことだ。具体的にいうと、オイルまわりの補器類を変更している。その理由は極めてシンプル。オフロードにおいての対策だ。クルマが傾くことでオイルが回らなくなっては元も子もないということである。ベントレーとしては初めての試みである。ちなみに、レンジローバーもジャガーと同じエンジンを積むが、同じような手法を施している。

この他では、精緻に制御するアイドリングストップ機構、一定巡航時のコースティングなども搭載された。これらからこのクルマが新世代ベントレーであることが垣間みられる。

九島辰也

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