ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

現代アート投資の歩きかた Vol.1

資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルと投資談議に花を咲かせる、この企画。3月は、美術商・アートディーラーとして活躍する、三井一弘氏をお迎えし、「現代アート投資」をテーマに対談を行った。

エンリッチ マネーカフェ0

世界屈指の画廊で、
美術商として活躍

内藤 本日はよろしくお願いします。三井さんは、世界的な老舗のギャラリーに籍を置き、マネ、モネ、ルノワールといった「オールド・マスター」と呼ばれる画家の作品から、近年であれば20世紀のアメリカの画家、ジム・ダインなど、幅広いジャンルの作品を扱ってきたとお聞きしています。美術商・アートディーラーとしてのキャリアは、17年になるそうですね。

三井 私は、米カリフォルニア州のNBS Chapman University校を卒業後、日本に帰国してから現代美術作家として数々の展覧会を開催してきました。ところが、1997年にオークションハウス・クリスティーズNYにて開催されたイブニングセールで、ピカソ作「アルジェの女」が当時のピカソ作品の最高落札価格にあたる38億円で落札される瞬間に立ち会った衝撃や、ある経営者から「君は描くより売る方が向いている」とアドバイスをいただいたことをきっかけに、99年に美術商に転身。「ウイルデンスタイン東京」に入社し、2013年まで勤務しました。

内藤 思い切ったキャリアチェンジでしたね。しかも、「ウイルデンスタインギャラリー」といえば、美術界で世界的権威を持つ画廊です。

三井 ウイルデンスタインギャラリーは、1875年に仏パリで創業し、いまで4代目になります。これまで世界の主要な美術館、著名なコレクターの方々に優れた作品を収めてきました。例えば、「ワシントン・ナショナル・ギャラリー」に掛かるフェルメールはウイルデンスタインが収めた作品です。

ベラスケス、モネ、ルノワールといった、オールド・マスターの全作品集を作っていることでも知られていて、こういった著名作家の作品を取引する際に、全作品集に載っているかどうかを確かめたうえで、必要であればパリの財団から証明書も発行し、これが取引される上で欠かせない通行手形となります。

内藤忍

Return Top