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マイナス金利で大注目!
絶好調のREITに落とし穴はないのか?

REIT

マイナス金利の導入によって市場の混乱が続く中、REIT(不動産投資信託)が好調に推移している。マイナス金利の導入によって金利が低下したことで、REITの利回りの高さが再認識されることになった。これに加え、資金の借り入れが容易になり、物件取得に弾みが付くとの読みから買いが進んでいる。一方で不動産価格の上昇はそろそろ限界ともいわれており、ここからの買い上がりはリスクが高いとの指摘もある。果たしてREITへの投資は魅力的だろうか。

REITは投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設などの不動産などを購入し、賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品である。REITは他の商品に比べて透明性が高く、一定の条件を満たせばファンドの収益には原則として税金がかからない。株式など他の商品に比べて、投資家に有利な仕組みであり、一部の投資家には非常に人気が高い。REIT価格はすでにかなり上昇したが、それでも平均すると3%前後の利回りが確保できている。この利回りは非常に魅力的だ。

このため株式市場は低迷が続いているにもかかわらず、REITには資金が集まっており、東証リート指数はこの2カ月で約15%も上昇した。同じ期間において日経平均株価は3%近く下落となっていることを考えると、REITの好調ぶりは明らかである。

REITが好調なのは当然のことながらマイナス金利導入の影響が大きい。マイナス金利の導入によって、金利収入を見込む投資商品の利回りは軒並み低下し、利益にならないものばかりになってしまった。REITは今となっては、貴重なインカムゲインを得られる商品であり、他からREITに乗り換える投資家が増えている。

利回りの魅力に加えて、マイナス金利はREITの事業そのもにも好影響を与える。REITは先ほど説明したように、基本的にすべての利益を投資家に還元する仕組みになっているので、多額の内部留保は保有していない。このため新規に物件を取得する場合には、既存の物件を売却するか、借り入れを行ってあらたに物件を取得するかのいずれかとなる。

加谷珪一

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