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企業・カード各社の富裕層向け最新トピック 1/3

エンリッチ LINE

ブラック・プレミアムクラスを中心に、ポイ探の菊地崇仁氏が、クレジットカードの隠された使い方や機能を探っていく本企画。5月は、企業やカード各社の富裕層向けサービスの最新トピックについてお伝えする。

エンリッチ読者の皆さま、ポイ探の菊地崇仁です。前回は、金融機関の新たな取り組みについて紹介しました。マイナス金利が導入され、預金金利は空前の低水準ということもあり、付加価値の高いサービスを選ぶことで、プラスアルファのメリットが得られるということです。

そして、今春からは、企業やカード各社に新たな動きが見られます。最大の特徴は、富裕層向けのサービスを強化しているということ。例えば、クレジットカードの世界では、高還元率カードのポイント付与率が変更される一方で、ゴールドやプレミアムクラスのホルダーに対しては、特定のサービスを利用することでポイント付与率をアップするなど、ややあからさまにも映る囲い込みを始めています。今回は、そういった動向をいくつか取り上げていきましょう。

LINEから新たに
プリペイドカードが登場

その前に、私が注目しているトピックに触れさせてください。以前、クレジット各社のプリペイドカード戦略について紹介しましたが、なんと、新たなプレイヤーが参入を果たしました。それが、なんとSNSの「LINE」です。いまや、プライベートのやり取りはキャリアメールではなく、LINE経由という方は多いでしょうが、同社ではJCBブランドのプリペイドカード「LINE Payカード」を発行したのです。

このカード、何が便利かというと、アプリで銀行口座からチャージができるという点。しかも、利用状況はすべてLINEに通知されますから、管理しやすいことも特徴です。

また、脅威的なのは2%という還元率の高さ。じつは、高還元率カードとして知られていた、「リクルートカードプラス」ですが、今年に入り、新規入会を停止、今年9月16日からは、電子マネーのnanaco、モバイルSuicaへのチャージ分はポイント加算の対象外になるなど、ユーザーも驚きのメリット縮小が発表されました。これまでの魅力が一部なくなるわけで、とても残念な話です。

そういったなか、LINEからプリペイドとはいえ、JCB加盟店で使うことができ、高還元のカードが登場したことは、非常にインパクトがあります。100円ごとにLINEポイントが2P貯まり、1000P以上になれば、LINE Payに交換できるという仕組みで、これも魅力的なサービスといえるでしょう。他にも、Pontaポイントやnanacoポイントにも移行でき、これらを介せば、PontaポイントならJALマイル、nanacoポイントならANAマイルにすることもできます。高還元を通じてマイルを得られることになりますから、マイラーにとってもメリットがあるわけです。

便利なのは、海外ATMで現地通貨を引き出せる「Cirrus(シーラス)」マークも付いていることです。将来的には入金されたLINE Payカードさえあれば海外でも困らず、ご自身の出張や旅行で利用する、あるいは留学中のお子さんに持たせておき、チャージ自体は国内から行えば送金が可能になります。

LINEは今夏にスマホ事業に参入するなど、目立った動きを見せています。ここでも、LINEやFacebook、twitterのアクセスに関しては通信料がかからないなど独自サービスを盛り込む方針で、若者を中心にヒットする可能性は高いのではないでしょうか。そこで、プリペイドカードも発行することで、金融を押さえたい思惑が見え隠れします。カードフェイスが可愛らしく、エンリッチ読者が持つのは微妙かもしれませんが(苦笑)、気にならないなら高還元率カードとしてご自身で持ったり、もしくはご家族に持たせるのも悪くありません。

ーーーいまや、国内SNSの代表格となったLINEによる、新たな戦略。プリペイドカードを発行することで金融ビジネスにも着手したい考えだ。将来、大きなビジネスになるかもしれない。そして次回からは本題へ。富裕層をターゲットにした、企業やカード各社の取り組みをピックアップしよう。

菊地宗仁_300

菊地 崇仁 (きくち たかひと)

株式会社ポイ探 代表取締役。大学卒業後、日本電信電話株式会社(現NTT東日本)入社。システム開発に携わる。2002年の同社を退社後、友人と共に起業。ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年代表取締役に就任。現在All About、カカクコム、ECZine、日経トレンディネットへ記事を提供する他、テレビ・雑誌でも活躍中。著書に「新かんたんポイント&カード生活 (自由国民社)」、「できるAmazonスタート→活用 完全ガイド(インプレス)」他。

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