一般的にメンタルタフネスが多いとされる、経営者やビジネスエリート達。しかしながら、時には道を見失いそうな時もあるのでは? そんな皆さんにお届けする高畑氏からのアドバイス、後編です。(前編を読む)ーー
初心を忘れてしまうとビジネスはただの金儲けになり下がる
プロスポーツやオリンピックなどで活躍するアスリートを目の当たりにすると「心身ともにタフなんだろう」と思うのではないでしょうか。確かに、彼らは日々鍛錬に励み、自己を高めるように努力を怠りません。ですが、何よりも大切なのは「当初の目的」を見失ってないことだと思います。
本来、その競技が好きで、その先にオリンピック出場という目標があるからこそ、時には苦しい局面も乗り越えられるわけです。他方、もし「名声が欲しい」「賞賛されたい」という気持ちであれば、どうでしょう。極端な話、それこそズルをしてしまえば、メダルを手にすることはできるかもしれません。ですが、そうしないのは初心を忘れず競技に向き合っているからではないでしょうか。むしろ、途中でブレてしまい初心を忘れてしまうと、第一線から姿を消してしまうことが多いようです。
ビジネスの世界も、それは同じこと。起業家であれば、何らか理由があってビジネスを興し、会社を成長させてきたはずです。ところが、うまく軌道にのり、周りからチヤホヤされるうちに当初の目的を見失い、迷走を始めた挙句、事業自体をダメにしてしまう…こういったことは枚挙に暇がありません。心にブレが生まれて修正できなかった結果でしょう。
ベンチャー企業にありがちなのは、好きで始めたビジネスで会社が大きくなり、社員も増えたことから、彼らを養うために、本業とは別の事業に進出するといったケースです。もちろん、それが好きであれば一向に構いませんが、「お金のためだけ」ということもあるようで、経営者にとっては少なからず、ストレスになるのでは。果たしてこれは正しい選択なのでしょうか?
そこで、ブレないため、つねに思い返していただきたいのは「なぜ、そのビジネスを始めたのか?」という出発点であったり、「自分自身が考える成功への価値観」です。初心を忘れるとビジネスはブレ始め、当初の目的を見失いますし、価値観を伴わない金銭的な成功は一時的な満足感につながるかもしれませんが、自己を見失う呼び水になる危険性さえ秘めています。結果、心身のバランスは狂ってしまい、本来求めていた姿や形、幸福とは縁遠い結果を迎えてしまうかもしれません。
ビジネスを成功させるためには、いつでも前を向き、邁進しないといけない雰囲気がありますが、じつはそうでもなく、過去の振り返り、さらには初心の継続であったりするのです。それほど難しいことではありませんから、鄭的に、そういった時間を持ってみてはいかがでしょうか。
さて、今回は2回にわたり、エンリッチ読者向けのメンタルトピックをお届いたしましたが、いかがでしょうか? 今後も定期的に、私なりの考えやアドバイスをお伝えできればと考えています。今後も、お付き合いいただけると幸いです。
一流だけが知っている自分の限界を超える方法
KADOKAWA/中経出版 1,404円
名だたるトップアスリートが指名するメンタルトレーナーである著者が、彼らと真剣に向き合う中で見出した「人間は本来負けたがっている」というオリジナルのスポーツ心理学をベースに、「勝ち」への執着を捨て、限界突破のための「負け」を知る究極の方法を説く。
高畑好秀 公式サイト: www.takahata-mental.com