財務省と金融庁は、ビットコインの売買の際に課税される消費税を2017年をめどになくす方向で調整を始めた。今年5月に改正資金決済法が成立し、ビットコインについて「モノ」ではなく「通貨」に近い存在として認めることになった。だが税制が追い付いておらず、理論上、消費税が課されるという状況が続き、通貨としては使えない状況であった。主要7カ国でビットコインに消費税を課しているのは日本だけであり、今回の措置でようやく国際水準に追い付くことになる。
ビットコインをめぐっては、2014年に国内の取引所である「マウントゴックス」が経営破たんしたことから、ビットコインをどう位置付けるのか国際的な議論となった。日本政府はいち早くビットコインは「通貨」ではなく「モノ」であるとの位置付けを明確にしてしまい、規制や保護の対象とはしなかった。このため日本では、ビットコイン取引所などは、消費者保護の対象となっておらず、安心して消費者が購入できる環境にはなっていなかった。
一方、米国など主要各国は、ビットコインの将来性を考え、逆に通貨として認める方向制で法整備を進めてきた。今回の措置によってようやく日本でもビットコインを活用できるようになったが、この間に世界との格差は一気に広がってしまった。ビットコインはIT(情報技術)と金融を融合したフィンテックにおける重要な技術の一つであり、ビットコインの普及とフィンテックの発展は密接に関係している。かなり出遅れたとはいえ、とりあえず日本でも本格的にフィンテックの普及に向けて動き出す環境が出来たといってよいだろう。
これまで国内のビットコインの取引所でビットコインを購入すると理論上8%の消費税がかかっていた。買ったコインを売り戻せば反対売買になるので消費税は相殺されるが、理論上、税金がかかっていることに変わりはない。これら伴う事務作業は膨大であり、普及の妨げになることは確実であった。
ビットコインが普及する最大のメリットは、圧倒的に安い送金手数料と、ビットコインの中核技術であるブロックチェーンの応用性の高さである。
ビットコインの送金手数料は極めて安く、特に海外へ送金するケースでは、銀行と比較するとほぼゼロといってよい水準になる。また海外に送金できるということは外国でも利用することができるということを意味している。ビットコインで決済できるインフラが世界各国に普及すれば、ビットコインさえ持っていれば、通貨を両替することなしに、外国でも簡単にキャッシュレスで買い物ができる。