ENRICH(エンリッチ)

The Style Concierge

まずやってみる

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お金持ちになれるかどうかを分けるのは、ほんの些細なことだったりする。新しいことに対するちょっとした反応などがその典型例である。

お金持ちマインドを持っている人は、新しい手法や技術、考え方について、良いか悪いかを判断する前にまずやってみる。一方で、お金持ちマインドが身に付いていない人は、たいていの場合、否定から入る。本人の能力差以前の問題として、ちょっとした考え方の違いが、人生を分断しているケースが多いのだ。

将来のことは誰にも分からない

近年、ITがめざましく発達してきたことから、次から次へと新しい技術や概念が登場している。自動運転、キャッシュレス決裁、仮想通貨、人工知能(AI)、シェアリング・エコノミーなど、どの技術や手法が生き残り、どれが廃れてしまうのか現時点で予想するのは難しい。

1年程度先のことならまだしも、10年より先のことを見通すのはほぼ不可能だと考えた方がよい。

債券市場の値動きを見ると面白いことが分かる。債券の金利は、償還までの期間が長ければ長いほど、将来の不確実性を織り込んで高くなるが、10年を超えると、その上昇幅は小さくなる。つまり市場メカニズムの世界では、10年より先は予想できないという答を出しているのだ。

お金持ちマインドを持っている人は、予想できないという事態に遭遇した際、合理的に以下のように考える。「将来を予想できないのであれば、現時点で議論するのはムダである。とりあえずやってみて、ダメなら使わなければよい」。

これは新しいビジネスを始める時の感覚と同一といってよいだろう。

新しいビジネスが成功するのかは、現時点では誰にも分からない。私たちは予言者ではないので、将来がどうなるのか、確実な予想を求めるのはナンセンスである。そうであるならば、自分の感覚を頼りに、試してみる以外に選択肢はない。このようにして、新しいビジネスはスタートしていく。

ところが成功への切符を手にできない人は、「リスクがある」「うまくいなかったらどうする」ということばかり考えてしまい、最初の一歩を踏み出せない。自信がないと言えば、かなり謙虚に聞こえるが本当にそうだろうか。裏をかえせば、リスクをゼロにして欲しい、成功の保証が欲しいといってるようなものであり、見方によってはかなり傲慢な価値観であるともいえる。

傲慢とまではいかなくても、自身に対する愛情が強すぎるため、失敗することを覚悟できないというケースが多く、これが大きな妨げになっているケースは多い。

加谷珪一

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