レクサスのブランディングと野望
レクサス。もはや日本でもかなり浸透したカーブランドと思われる。たぶん。あまりクルマに興味のない方は別として。
日本で発売を開始したのは2005年からだ。ただその前にアメリカでデビューしている。それも1989年に。そしてそれは大成功。ディーラーでの対応が気持ちよかったり、代車を素早く手配したりと日本流の“おもてなし”が報われた。それまでアメリカにおける多くのディーラーの対応はあまりよくなかったらしい。
当初トヨタが北米で高級車ブランドを展開することに対して、まわりは冷ややかだった。ピックアップのテールゲートに名前を書く会社に高級車はつくれないと。特にライバル?と目されるドイツブランドにインタビューすると、「まったく興味ない、心配もない」とバッサリ。彼らは伝統とか歴史といった言葉を盾にした。
そんな経緯のあるレクサスだが、じつはブランドイメージを世界統一させたのは昨年。私自身も参加したが、2013年春ニューヨークで行われたキックオフイベントがお披露目の場となった。パーティ会場となったマンハッタンのピアには多くのセレブリティが顔を連ねたのをいまも覚えている。
最近、テレビCMでも使われる「AMAZING IN MOTION(アメージングインモーション)」はそこで初めて発せられた。巨大パペットや自律型ヘリロボットが登場するCMはこのコンセプトに基づいたものだ。となると、正直いろいろ矛盾も感じる。2005年8月の大騒ぎはなんだったのだろう。ディーラーマン研修にホテルマンを講師にしたりとレクサスがラグジュアリーブランドであることを強調していた。いったいこれまでのブランドイメージとはどこが違うのか……。
先日カナダ、バンクーバー郊外のウィスラーで新型レクサスNXのステアリングを握った。世界中のメディアを集めての国際試乗会である。