ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。前回はポイントによる義援金の受け付けについて取り上げたが、今回は加速する証券会社のポイント活用を紹介する。(1/3から読む)———
ポイント運用やポイント投資が増加
新たな活用方法として定着しつつある
先月は、「マネックスカード」の利用などでたまるマネックスポイントや、SBI証券と三井住友カードの協業について紹介しました。いずれも、カードポイントで金融商品を購入するなど、ポイントを投資に使うサービスでしたが、同様の取り組みは他社でも見られます。
ポイント活用で先行するのは楽天証券です。同社の場合、証券口座を開き「ポイントコース」を選ぶとポイント投資を始めることができ、現物株式や投資信託、バイナリーオプションの購入代金の全額または一部に楽天ポイントを充当することができます。投資信託に関しては積立投資にも対応しています。また、楽天カードでのクレジット決済による投信積立も可能です。
丸井グループのtsumiki証券は、同社が発行するクレジットカードの「エポスカード」保有者を対象に、ポイント投資のサービスを提供しています。たまったエポスポイント100ポイントから投資信託を買うことができます。さらに、エポスカードを使い月3000円から投資信託を自動で積み立てる「カードでつみたて投資」のサービスもあり、1年間の積立金額に応じてエポスポイントも付与します。
少ないポイントで株式などを購入できるのは、スマホでの取引に特化したスマホ証券です。例えば、SBI証券とTポイントを運営するCCCマーケティングによるSBIネオモバイル証券は、Tポイントを使い株やFXなどに使うことが可能。しかも個別株の購入単位は1株、500円で買える株もあるので、ためたポイントで足りる人もいるでしょう。1週間後の日経平均を3つの選択肢から予測する「ネオW」にもTポイントを使うことができます。
SMBCの日興フロッギーはdポイントを使うことができ、LINEと野村證券が提携するLINE証券では、LINEポイントを株の現物取引や1株投資に使うことができます。PayPay証券は、PayPayボーナスをポイン運用することができます。なお、ZホールディングスとLINEの経営統合で、どちらかのサービスに統合されるのか名称変更があるのかなどは注目したいところです。
このように、ポイント投資に対応する証券会社は多く、有効な使い道として注目されています。
ユニークな取り組みを始めると発表しているのは、マネックス証券です。同社はJCBと共同で、カードを使った消費行動を株式投資につなげ、カード会員が加盟店(企業)のファンになっていくサービスの開発を進めると発表しています。
現状でわかっているのは、次のようなサービスです。
JCBはカードホルダー向けに新たなアプリをリリースし、会員はアプリ内でカード情報を登録のうえ、興味・関心のあるJCB加盟店を登録します。その後、加盟店でJCBカードを使うと、付与率に応じた仮想株式ポイント(仮)が付与。同ポイントの残高が加盟店の1株以上になるとマネックス証券に移行し、単元未満株サービスを利用できる見通しです。
「登録したJCB加盟店でカード決済」がポイント付与の条件なので、おそらく対象になるのは、小売りの上場企業でしょう。それらのなかから、将来的に株主になりたい企業を選ぶことになりそうです。まだはっきりしませんが、小売りだけではなくメーカーなども対象になれば、それこそ好きな会社を応援したい気持ちでカードを使うことができます。具体的にどういったサービスになっていくのか、期待したいところです。