資産デザイン研究所代表の内藤忍氏が、各界のプロフェッショナルを招いて、投資談議に花を咲かせる、この企画。第2弾は、英国最古のワイン&スピリッツ商、ベリー・ブラザーズ&ラッドの日本支店ジェネラル・マネージャー、福田恵夫氏をお迎えし、ワイン投資について対談。今回は、ワイン投資の魅力について存分に語り合う。
ワインは実物資産。コモディティ投資の一種
内藤 私は月に1回、ベリー・ブラザーズ&ラッドご協力のもとワイン投資セミナーをしていますが、皆さん楽しみながら参加しているように感じます。参加者は10名程度で、起業家やドクター、あるいは会社員など立場はさまざまですが、ワイン好きという共通項があり、気づけばグラスを傾けながら談笑し、「どのワインに投資しましょうか?」なんて打ち解けています。ワイン投資の最大の魅力は、楽しみながらできることなのでしょうね。
福田 私たちは単にワインを販売するだけではありません。当社には全世界に312名しかおらず、ワインの神様とも称される「マスター・オブ・ワイン」の有資格者が8名もいます。これは他ではありえない水準で、彼らは若手のワイナリーの育成にも積極的。こういった環境もあることからワインに対する情報量は膨大で、それをお客様にもわかりやすくお伝えすることを心がけています。
内藤 私のセミナーでも、御社の専門家がワイン投資の基礎知識からコストやリスクについて、丁寧にご説明いただいています。参加者の多くはワインに詳しくても、投資については初心者。きちんと仕組みを理解して取り組んでいただきたいので、スペシャリストからのサポートには頭が下がります。
福田 こちらこそ、内藤さんのおかげでワイン投資に興味を持っていただける方が増えて、ありがたい限りですよ。日本ではまだまだワイン投資を知らない方が多いので。
ところで内藤さんは、当社を通じていくつかワインをご購入いただいていますが、なぜワイン投資を始めてみようと思ったのですか。
内藤 それは、他の投資にはない魅力やメリットがたくさんあるからです。
そもそもワインは、金や原油と同じく「コモディティ」と呼ばれる実物資産です。コモディティの特徴は、株式のような配当もなければ、債券のような金利もないこと。1グラムの金は10年たっても、1グラムの金のままです。つまり、コモディティで利益を得るには、安く買い高く売るしかないのです。
そこで価格の根拠を決めるのは誰かというと、買い手と売り手の需給です。欲しい人が多ければ価値は高くなりますし、少ないと価値は低くなります。
そのような観点でみると、ワインのアドバンテージが見えてきます。例えば、ワインは必ず消費されるので、古いワインは年を追うごとに供給が減っていく。つまり、需給の関係が供給過剰になりにくいのです。
福田 それはいえますね。そもそもフランスワインの生産は法律で厳しく規制されていて、1年で作れる量が決まっています。人気が出たから倍にする、なんてことができません。供給は一定、経年で減っていくのに欲しい人が多いとなれば、価値が上がる可能性は高まります。さらに近年は、中国を始め豊かな国が増え、ワインの消費量は右肩上がり。今後は中国だけではなくアジアの新興国が経済発展するに伴い、ワインに対する人気は高まると考えています。当社も香港に支店を構えました。