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プレミアム系クレジットカードの環境変化 3/3

ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今回は空港ラウンジのサービス内容変更と、三井住友カードが始めた年会費無料のゴールドカードの話題について取り上げる。(1/3から読む)−−−

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Mastercardのサービス提供終了に伴い
「プライオリティ・パス」に変更

プレミアム系クレジットカードでお馴染みの付帯特典と言えば、空港ラウンジの無料利用です。カード独自のサービスもありますが、海外の空港ラウンジを利用できる「プライオリティ・パス」と「ラウンジ・キー」はツートップと言えるでしょう。

こうしたなか、プレミアム系クレジットカードを中心にラウンジ・キーを付帯特典にしていたMastercardは、サービスの提供を終了すると決定。今後は、順次「プライオリティ・パス」に切り替えます。例えば、「Orico Card THE PLATINUM」は11月1日から、ジャックスカード2024年3月1日から「ジャックスカードプラチナ」をはじめ各種プラチナカードの空港ラウンジサービスをプライオリティ・パスに切り替えます。なお、カードによってはプライオリティ・パス専用の会員カードは不要で、モバイルアプリのデジタル会員証やカード自体が会員証になります。ただし、登録情報は引き継がれないので、新たにプライオリティ・パスの会員登録を済まさないといけません。ご注意ください。

一方、三井住友カードは一般カードの利用者が年間100万円以上を利用すると、「三井住友カード ゴールド」に年会費永年無料で切り替えられるサービスを始めました。満20歳以上であること、メールサービス「三井住友カードレター」を受け取る設定にしていることも条件で、これらをクリアすると案内を受け取ることができます。

かつて、ゴールドカードと言えば年会費1万円前後であるのが一般的でした。ところが現在は、「ミライノカードGOLD」や「SAISON GOLD Premium」も年間100万円以上のカード決済で年会費無料になり、年間50万円以上の利用で招待状が届く「イオンゴールドカード」やインビテーション経由で申し込んだ「エポスゴールドカード」は、年会費が永年無料です。

それなりにクレジットカードを使い、一般カードもしくはゴールドカードのどちらか迷っていた人にとって、こういった取り組みは朗報です。ポイント還元率アップや空港ラウンジサービスなどサービス・付帯特典は充実するので、切り替えて損はありません。条件達成で次年度無料のゴールドカードの場合、カード会社からすると利用を促す機会にもなります。三井住友カードが永年無料のゴールドカードを発行するのも、年間100万円はカードを使った実績があり、今後も同水準を利用する優良顧客になる可能性があるからでしょう。

近年は年会費が2万~3万円前後の、リーズナブルなプラチナカードも増えてきました。ステイタスを満たしたい、豊富な特典を使いこなしたいといった理由から持ちたい方は少なくないでしょうから、こちらに関しては従来のハイプライスとロープライスの二極化が進む可能性があります。

一方、ラグジュアリーカードにはゴールド(一般的なカードのプラチナに相当)以上の「ブラックダイヤモンド」、アメックスには「センチュリオン」などいわゆるブラックカードを用意していました、今後はプラチナカードの敷居を下げつつ、さらにハイクラスのカードを各社がリリースするかもしれません。セゾンカードは昨年、年会費24万2000円の最上位カード「セゾンダイヤモンド・アメリカン・エキスプレス・カード」を出しました。こういった、新たなステイタスカードの登場も気になるところです。

菊地宗仁_300

菊地 崇仁 (きくち たかひと)

株式会社ポイ探 代表取締役。大学卒業後、日本電信電話株式会社(現NTT東日本)入社。システム開発に携わる。2002年の同社を退社後、友人と共に起業。ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年代表取締役に就任。現在All About、カカクコム、ECZine、日経トレンディネットへ記事を提供する他、テレビ・雑誌でも活躍中。著書に「新かんたんポイント&カード生活 (自由国民社)」、「できるAmazonスタート→活用 完全ガイド(インプレス)」他。

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