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コンビニエンスストア、資産運用とポイントの動向 1/3     

ポイ探の菊地崇仁氏が、エンリッチ読者のライフスタイルにマッチするクレジットカード、あるいはポイントサービスの付加価値を見出す本連載。今回は、コンビニエンスストアや証券会社によるポイント施策の最新動向を追った。−−− 

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エンリッチ読者の皆さま、ポイ探の菊地です。前回は、金属製の「メタルカード」がプレミアム系カードで増えている背景や、イベントの開催、PayPayによる給与デジタル払いについて触れました。今後、情報が更新されたら改めてお伝えしたいと思います。

特定店舗でのポイント優遇についても、事例とともに取り上げました。これは、三井住友カードや三菱UFJ銀行がコンビニエンスストアや飲食店などの提携店での支払いに使うと、通常よりも多くのポイントが付与されるというものでした。対象店舗は普段の生活で使うところが多く、会員にとっても、メリットを見出しやすい施策です。これら2つのカードに限らず、多くのクレジットカード会社は提携先におけるポイントアップを行っていますから、自身が持つカードの特典内容を調べなおすと、意外なお得店舗が見つかるかもしれません。

三井住友カード×セブン-イレブンで最大10%

こうした中、三井住友カードとCCCMKホールディングス、セブン-イレブン・ジャパンは10月15日から、全国のセブン-イレブンで最大10%のVポイントがたまる・使える、セブンマイルからVポイントへ交換できるサービスを開始すると発表しました。

これまでも三井住友カードとセブン-イレブンでは、三井住友カードが実施する「対象のコンビニ・飲食店で最大7%ポイント還元」により、セブン店舗で三井住友カードのスマホのタッチ決済を使うと、通常ポイントを含む最大7%のポイントを還元していました。今回は、このサービスをより強化するもので、以下の条件を満たすと10%還元になります。

①「セブン-イレブンアプリ」の「7iD」と「V会員番号」を連携(Vポイントの利用設定)
② 店舗で支払う際に「セブン-イレブンアプリ」を提示
③ 三井住友カードのスマホのタッチ決済を利用

10%還元の内訳は、「セブン-イレブンアプリ」の会員コードの提示で、買い物金額に対する0.5%のセブンマイルを付与。三井住友カードのスマホのタッチ決済で買い物金額に対して9.5%のVポイントがたまります。セブンマイルを10マイル=10ポイントでVポイントに交換することで、最大10%のVポイントが獲得できます。つまり、最大のポイント還元を受けるためには「セブン-イレブンアプリ」が必須ということです。

一方、セブン-イレブン以外のコンビニエンスストア・飲食店は、通常ポイントを含む最大7%のVポイント還元を継続。つまり、三井住友カードでもっとも有利な店舗はセブン-イレブンという位置づけです。対象となる三井住友カードは、スタンダードカードで、それ以外のカードでは10%還元の恩恵を受けられません。ただし、毎週金曜日は、三井住友カードを持たない人であっても、VポイントPayアプリのスマホのタッチ決済で支払うと、利用金額の10%が還元されます。

セブン-イレブンとしてはアプリの提示を10%還元のルールに組み入れることで、消費者とアプリの距離を近づけたい考えだと思います。ただし、これによるポイント還元率は0.5%なので、どこまで浸透するかわかりません。なかには、その手間を惜しんでタッチ決済による9.5%で十分と考える人もいるでしょう。

しかしながら、ユーザーからすると、これだけの高還元はメリットです。セブン-イレブンは、持ち株会社のセブン&アイがカナダの同業大手アリマンタシュオン・クシュールから買収提案を受け、4年連続で最終赤字のイトーヨーカドーなど非コンビニ事業を切り離すなど、慌ただしい状況に直面しています。こうしたなか、中核となるコンビニ事業の付加価値向上は至上命題です。今回の取り組みを集客につなげたい思惑が見え隠れします。

−−−セブン-イレブンでポイント10%はかなりのインパクト。条件を満たす人にとって、かなりお得になるだろう。次回は引き続きセブン-イレブンのポイントに対する取り組みを解説する。
  

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菊地 崇仁 (きくち たかひと)

株式会社ポイ探 代表取締役。大学卒業後、日本電信電話株式会社(現NTT東日本)入社。システム開発に携わる。2002年の同社を退社後、友人と共に起業。ポイント交換案内サービス・ポイ探の開発に携わり、2011年代表取締役に就任。現在All About、カカクコム、ECZine、日経トレンディネットへ記事を提供する他、テレビ・雑誌でも活躍中。著書に「新かんたんポイント&カード生活 (自由国民社)」、「できるAmazonスタート→活用 完全ガイド(インプレス)」他。

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菊地崇仁

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