ここまで、シンガポールの都市としての魅力を仕事や生活、教育など様々なポイントから紹介してきましたが、今回は少し視点を変えてシンガポールのライバル都市はどこか、そしてシンガポールの勝っている点、負けている点を紹介したいと思います。
シンガポールの最大のライバル都市はやはり香港です。日本人の富裕層が移住する場合も、グローバル企業がアジアの本社を置く場合も、世界の高級不動産や美術品をアジアで販売する場合も常に香港とシンガポールは競合します。私たちも昨年5月にシンガポール法人を設立したのに続いて、先月には香港法人を設立し来年は香港でのビジネス展開を拡大していく予定です。
私たちもビジネスでは香港とシンガポール両方に関わりながら、シンガポールを居住地として選んでいるように、生活面では、シンガポールにメリットがあるように感じます。特に、子供がいる家庭では香港の大気の汚れと、外で遊ぶ場所の少なさ、食品への不安は大きなデメリットでしょう。
また、香港はシンガポールよりも不動産価格の高騰が進んでおり、先日に430㎡の4ベッドルームの住宅が約125億円で売りに出されました。坪単価で約1億円と、バブル期の銀座の土地のような価格ですが、住宅でこの単価の物件があるところからも、香港不動産の過熱ぶりがよく分かります。[/one_half_last]また、教育の面でも特に高等教育以下で、シンガポールに優位性があると見ています。香港にもシンガポールにも多数のインターナショナルスクールがあり、グローバルな教育環境は整っていますが、香港ではウェイティングリストが非常に長くなっています。また、ただでさえ多くの人が待っているにもかかわらず、大富豪が多額の寄付をして順番を繰り上げてもらったというエピソードもよく聞くので、すぐに教育が受けられ透明性があることから、シンガポールの方が優っているでしょう。
実際にこれらの観点から、弊社のお客様の主体である若手起業家たちも、移住先に香港ではなくシンガポールを選ぶケースが増えています。ただ、ビジネスの観点では、特に小売りや金融関連において、香港はまだまだ根強く人気です。長く、日本人の富裕層の移住先として香港は人気だったので、プライベートバンキングの日本人デスクが預かる資金量も香港が、シンガポールの数倍あるようです。
日本人のビジネスオーナーが持ち株を譲渡する場合に税優遇があり、パチンコ関連など日本では上場が難しい業種であっても上場が比較的に容易なために、依然日本の富裕層の移住先として、香港は一定の人気を誇っています。