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大迫勇也のケース 
日本代表1/23のボディメンテナンス術

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ブラジルワールドカップが開幕し、日本代表はグループリーグ突破を賭けた大事な一戦へと挑んだ。相手はコートジボワール。フィジカルに勝るアフリカの強豪との初戦、先発メンバーに選ばれたのは、鹿島アントラーズからドイツに羽ばたいた大迫勇也だった。鹿島時代からお互いをよく知る元チームトレーナー・小池謙雅氏が大迫選手の等身大エピソードとともに、彼に施した新しいセラピー「トリガー・セラピー」を紹介。人間の身体が持つ本来の運動機能を改善し、世界と戦える身体を取り戻したボディケアテクニックを公開する。

大迫、ハンパないって!
日本代表FW・大迫勇也の挑戦

ワールドカップが開催し、眠れない夜を過ごす人も多いのではないでしょうか。世界最高峰の舞台に挑む日本代表。そのメンバーの中に、ひとり感慨深い名前が連なっています。その男の名前は、大迫勇也。現在、ドイツ・ブンデスリーガのFCケルンに所属する日本屈指のFWです。

私が鹿島アントラーズのチームトレーナーを務めていた時代に、大迫選手は鳴物入りで入ってきたルーキーでした。鹿児島城西高校時代、2008年度に開催された第87回全国高等学校サッカー選手権大会での圧巻のプレーで話題を呼び、1大会で10ゴール10アシストの記録を残した怪物高校生。当時、「大迫、ハンパないって!」という対戦相手の発言が話題になりました。

その後2009年に入団してきた彼を見て、私は驚きました。高卒ルーキーながら、下半身はしっかりとできている。多少猫背なところは気にかかりましたが、ボディポテンシャルとしてはJリーグでしっかり通用するものを持っていることを確信したのです。しかし、大迫選手が飛躍するには、どうしても少しの時間を待たなくてはいけませんでした。それは、鹿島という強豪チームにあって、新人たちが直面する大きな壁があったからです。

高校サッカーのレジェンドもプロに入ればひとりの新人

当時の鹿島アントラーズはリーグ3連覇を目指す強豪中の強豪です。鹿島のサッカーはオリベイラ監督のもと、勝つためのスタイルがしっかりと固められていました。いかに高校時代、モンスター級と騒がれた選手と言えど、代表クラスの選手がひしめきあい、スタイルが完成されたチームで色を出すのは簡単なことではありません。

大迫選手も次第に自分を見失っていきました。シュートをすべき場面でパスを出す。ハーフタイムに修正点を話し合う局面では、自らの意思を発言せず、先輩の指示をひたすら聞いている。新人にはありがちな風景ではありますが、彼も例外ではなかったのです。

プロサッカーは生き残るためのサバイバルが厳しい世界。大部分の新人たちは、自分を出せず淘汰されていきます。でも私は「サコなら大丈夫だろう」という確信をもって、もがきあがく彼を見守っていました。なぜならば、彼が私にマッサージを受けるとき、彼ならではの思考の柔軟さを持った質問をよくしてきたからです。

サッカー選手に限らず、プロアスリートは「ここが張っている」「ここに違和感がある」と、自分の肉体の調子をまず自分で見極めます。しかし大迫選手は「ねえ小池ちゃん、俺、どこが張ってる?」と、ざっくばらんに聞いてくる。自分だけで判断せず、周囲の見方も取り入れながら問題に対処しようという姿勢は、その一点からもはっきりとわかりました。

ブラジルワールドカップで世界を相手にしかけろ!

右も左もわからないルーキーではなくなり、2年目、3年目を迎えていくにつれ、大迫選手は、その持ち味を十分に発揮するようになりました。

エゴイスティックにゴールを狙うストライカーの本能を発揮しながらも、前線でポストプレーヤーとなって2列目、3列目を活かすプレーにも磨きがかかる。ロッカールームでも先輩だろうが元代表相手だろうが臆することなく意見する。そして周囲の意見に、素直に耳を傾けていく。「これぞサコの本領だ」と私は実感したものです。

そしてドイツへの移籍を経験し、並み居るライバルを押しのけてザッケローニ監督の口から「オオサコ」と名前を呼ばせしめました。初戦こそフィジカルで勝るコートジボワール相手に苦戦を強いられましたが、彼のポテンシャルを知る私としては、たとえアフリカ勢であろうと中南米勢であろうと、そして欧州の名プレイヤーを相手にしても、簡単には負けないと信じています。

そんな彼がワールドカップ直前、強化合宿に入る前に大迫選手が私の運営するトリガー鍼灸・整骨院を訪れてくれました。聞くと、足のハリ、むくみを感じているということでした。そこで今回は大迫選手が実際に受けた、足のむくみ、ハリを解消するトリガーセラピー、名付けて「レッグ・フレキシブル・トリガー」をご紹介しましょう。彼へエールを送っていただくとともに、読者の皆様も、ぜひ一緒に体験してみてください。

エンリッチ編集部

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