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アップルウオッチの登場で金価格が乱高下との予測

エンリッチ アップル

以前から話題になっていた腕時計型ウェアラブル端末「アップルウオッチ」の発売が4月に開始となる。ボリュームゾーンの製品は4万円からという価格設定だが、18Kを使った高級モデルの価格は、日本円で128万からというかなり高価なものとなった。

数年で古くなることが逆にステータス?

従来からある高級時計は、基本的に一度買えば半永久的に使うことができるので、それほどお金がない人でも、一生モノということで購入を決断できる。だが、アップルウオッチはITデバイスであり、機械としての寿命は限られている。どのくらい長期間、この製品を使い続けることができるのかは何とも言えないのが現実だ。

だが市場におけるアップルウオッチの売上げ見込みは、上位モデルも含めてかなり強気である。全体では年間数千万台、上位モデルに限っても数百万台という予測が出ている。

上位モデルの購入者として想定されているのは、ステータス目的で購入する富裕層である。もしかすると、数年で使い物にならなくなるという欠点は、ステータス目的の富裕層には逆に魅力的に映るかのもしれない。数年で100万円以上をドブに捨てることができるのは本当のお金持ちだけであり、従来の高級時計にありがちな無理して購入する層がいない可能性が高いからだ。確かに生鮮食料品のような商品に百万円を投じることができるのは、よほど余裕がある層ということになるだろう。

上位モデルの購入者の実像はともかくとして、アップルウオッチの異例の人気ぶりは、金市場にも大きな影響を与えるといわれている。アップルによる金の購入量があまりにも多いため、金不足を招く恐れがあるというのがその理由である。

18Kを使ったアップルウオッチの上位モデルは、1台あたり50グラム程度の金が使われる。仮に500万台が販売された場合、アップルウオッチに使われる金の量は250トンになる。ちょっとピントこないが、250トンの金ということになると、日本政府が保有する金地金の実に3分の1の量である。これだけの量の金がアップルウオッチにだけ使われるのである。

金は採掘にコストがかかるため、大量に供給することができない。これが金の希少性をさらに高いものにしている。全世界における金の年間生産量は2700トン程度なので、アップル向けはその10分の1を占めるということになる。

加谷珪一

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