「『お金のことを知らずに社会に出るのは怖かった』、『両親が頑張って働いてくれているから、これだけの家に住める』など感想は様々ですが、反応は良く生徒も楽しんでいます」
こういったカリキュラムは、ファイナンシャルアカデミー及び一般社団法人金融学習協会が構築し、ボランティアで行う講師などが授業を開催、無料で提供している。
「いまは、お金を学ぶ文化を作る過程ですから、とにかく地道にお金の勉強を体験してもらうことが目標。時間はかかるでしょうが、10年後20年後には1000校ほどになっていれば嬉しいですね。それには私ひとりの力では難しくても、継続していくことで、お金の事を学ぶという文化が出来上がると思っています。」
泉氏は、お金の扱い方を知ることで「物事の本質が見えてくる」と説く。
「例えば、資産運用をしたいと思い銀行窓口に相談に行ったとします。ここでお金の教養がないと、『プロが言うんだから』と、勧められるままに投資信託などを買ってしまうかもしれません。ところが、突き詰めると相談員の給与は金融商品の手数料であり、彼らは投資ではなくセールスのプロなのです。つまり、言われるがままに飛びつくのは、賢い選択ではありません。こういった知識や考えを若いうちから学び、積み上げていけば、お金で騙される人も減らせます。」
金融経済教育授業を通じて、日本人の金融リテラシーをさらに向上させたいと考える、泉氏、もとよりファイナンシャルアカデミー。「最初の10年は主に社会人に向けた講座でしたが、これからは並行して学校教育にも普及させていくのがミッション。意義はありますし、何年かかるかわかりませんが、文化ができあがるまで継続していきます」――泉氏は、いまだ道半ばと締めくくる。
近い将来、こういった取り組みが多くの日本人を豊かなライフスタイルへ導くのではないだろうか。それに期待したい。
泉正人(いずみ・まさと)
ファイナンシャルアカデミーグループ 代表。
一般社団法人金融学習協会 理事長。
自らの経験から金融経済教育の必要性を感じ、2002年に「お金の教養」を身につけるための日本唯一の総合マネースクール「ファイナンシャルアカデミー」を創立、代表に就任。一方、一般社団法人金融学習協会の理事長として「マネーマネジメント検定」を運営。学校現場への経済金融教育のカリキュラム提供などの普及啓蒙活動も精力的に行っている。現在、ファイナンシャル教育を行うグループ4社を牽引し、真に豊かでゆとりある人生を送ってもらうための金融経済教育の定着を目指している。著書は30冊累計120万部を超え、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。
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TEXT:大正谷成晴