一般化した「親子留学」
ところが、一般雑誌が「親子留学」として雑誌で定期的に特集を始めたのは、7年位前であろうか。セレブ主婦層を対象にした人気ファッション誌が「ハワイで親子留学!」という特集を組んで以来、今までの様に「留学に興味がある」というよりも、「ハワイが好き」な親が、「子供のため」という名目で1カ月ほどの長期滞在をするようになったのだ。(筆者自身、この雑誌の親子留学特集には5年前から数回、「親子留学のプロ」という立場でコメントを寄せさせて頂いている)
こういったブームに伴い、ハワイ現地にも日本国内にも、いくつもの親子留学斡旋会社が乱立。自分自身が英語が話せなくても、ネットだけで簡単に検索、申し込みが出来るようになったため、一気に親子留学はカジュアルなものとなり、一般化したのだ。
7,8年前までは親子留学は、ごく一部の英語への関心が強い家庭のものだった話をしたが、ここ数年で大きなブームとなっているのには社会的な理由もあると考えられる。母親たちに一番インパクトを与えたのは「小学校での英語授業導入」と、「ユニクロ、楽天の英語公用語化」のニュースだ。
小学校5,6年生で年間35単位の「外国語活動」が導入されたのは2011年(発表は2010年)。昨年10月には、英語の授業開始が3年生に繰り上げることも発表されている。急成長を続ける楽天が「社内の英語公用語化」を開始したのも2010年、ユニクロが「2012年度までに英語を楽天グループの公用語にする」という方針を出し、2年経過しても英語ができない役員は解雇すると明言したのも同じく2010年。
この二つの大きな「事件」が、今まで小学校受験や中学受験、早期教育といった「裕福なお受験ママ」のベクトルの方向を一気に「日本の受験」から「小さい頃からの英語」に向かわせたことは想像にかたくない。私が運営しているハワイ親子留学のサイト(http://www.oyasta.com)も2010年、2011年頃から一気に親子留学の問い合わせが増えているのだ。
今でも親子留学不動の人気はハワイ
私は色々な雑誌や新聞、留学に関心のある親から「今注目の親子留学先はどこですか?」と聞かれることが多い。ここ最近の注目で言えば、上記に述べたような国家レベルで留学生誘致に力を入れているアジアの国々であることは間違いない。私自身も安価に滞在できて美しい英語を学べるなら、ぜひアジアにチャレンジしてみたいと思う。しかしどうしても足が向くのはハワイであり、今も親子留学先として不動の一位は断トツハワイなのだ。なぜハワイなのか。
日本語が通じるのはもちろん、湿気や虫の多いアジアと違い、ハワイの気候はカラッとしていて暑くてもジメジメした感覚は一切感じない。街のいたる場所で日本食材が手に入る上に、世界屈指のリゾート地のため、子供をスクールに送った後に自分時間を楽しむお母さんにとっては、素敵なホテル、レストラン、エステ、ショッピングと、よりどりみどりなのだ。日本人のアメリカ文化への憧れや、歴史が長いだけに留学斡旋会社が多く、情報量や選べるスクール数が多いことも要因だろう。
今までは「最高のバカンス先」でしかなかったハワイを、「子どもが英語を学ぶ場所」「異文化を体験するところ」という、違う視点で捉えてみてはどうだろうか。