ベストセラー『考具』の著者で、4月には新刊『発想法の使い方』を上梓した、博報堂勤務の加藤昌治氏による、アイデアパーソンになるためのレクチャー。「多くの選択肢を出すことが良いアイデアにつながる」というのがポイントだが、そのために何ができるのか。後編では、自分自身や部下、チームのアイデア力を上げるための方策について、加藤氏からアドバイスを伺った。(前編を読む)
多くの選択肢を出すことが、アイデアパーソンになるための第一歩ということですが、具体的に何から始めればいいのかわからない人もいると思います。あるいは、発想力に悩む部下を抱えた場合、どのようにアドバイスすればいいのでしょうか。
私がよく言うのは「いままでデートや外食をしたことのある人は、すべからくアイデアパーソンになるための下地がある」ということ。それは、デートコースやお店、メニューなど、何らかの選択肢を見つけ出して「選ぶ」という行為を行っているからです。ならば、こういったプロセスをビジネスにも持ち込めばいいのです。
例えば、部下の発想力を鍛える場合、「視野を広く持て」とアドバイスする経営者や上司は多いでしょうが、当の本人からすると、いきなりどうすればいいかわかりません。ならば、ランチの選択肢を広げるようアドバイスすることをお勧めします。
どうしても昼食のお店は偏りがちで、メニューも定番になりがちです。それを、他のお店もリサーチするなど、視野を広げるための具体的な行動を伴わせるのです。強制力を働かせるため、「明日のランチの場所選びを任せる」といった手段もあるかもしれません。このように、選択肢を出させるための行動習慣を身につけさせ、仕事にもシフトさせると、ビジネスでも選択肢を出すことに対してハードルが低くなるように思います。もちろん、行き先が増えることで「あのお店は美味しかった・イマイチだった」など成功や失敗も伴うのですが、それだって素晴らしい経験です。もしくは、自分自身のアイデア力が乏しくなってきたと思うなら、食事など、あえて仕事以外の場面で多くの選択肢を出してみることを試してみるのもいいかもしれません。