アイデアにおける失敗とは?
そもそも、アイデアが集まる場面においての失敗は、ふたつ考えられます。ひとつは「良い選択肢がなかった」、もうひとつは「良い選択肢が出たにも関わらず選べなかった」というもの。両者とも想定できるのですが、問題なのは、良いアイデアが出なかったのも選ばなかったのも、上の人の責任であるということです。ですから、アイデアパーソンであるためのトレーニングは個人・組織として欠かせませんし、選ぶポジションの人間は、多くの選択肢を集めるためのスキル、さらには良いモノを見抜くための観察力や判断力も求められます。
そして、選択肢を集められるスキルや自信が伴えば、一撃必殺のアイデアに頼る必要はなくなりますし、仮に選んだアイデアがダメでも次にトライするなど、PDCがスピーディに回せるようになります。素晴らしい経営者とはその人のそのものがアイデアパーソンであったり、そうでなくても良い選択肢を集めることができ、かつ選ぶことができる人物です。だからこそ、生き馬の目を抜くビジネスの最前線で、強みを発揮できるのだと思います。
最後に、この度上梓した『発想法の使い方』では、ペーパーやタブレットなど、手持ちのデバイスがあれば手軽に取り組めるテクニックを紹介しています。それらから、相性の良いモノを使っていただければ幸いです。
また、事例に挙げたアイデアはどれも平凡なものばかり。それは先ほど申し上げた通り、アイデアは突飛な内容である必要がないからです。あくまでもたくさん出すことが大事で、そこから絞り込んでいくことがポイントです。それが引いてはビジネスの強みとなる、アイデア力、アイデア集め力、アイデア選択力につながっていくのだと思います。ぜひ手に取って、お試しください。
加藤昌治(かとう・まさはる)
株式会社博報堂勤務。新商品発売・新事業開始などのマーケティングPR領域と、M&A・事業統合などのコーポレートPR領域の戦略・企画立案、実施を担当。2005年度に日本PR協会主催の「PRアワード」でグランプリを受賞するなど多数の受賞歴を持つ。主な著書に『考具』(阪急コミュニケーションズ)、『アイデア会議』(大和書房)、『アイデアパーソン入門』(講談社)、『企画のプロが教える「アイデア講義」の実況中継』(三マーク出版)。4月には『発想法の使い方』(日経文庫)を上梓した。
加藤氏オフィシャルサイト: 考具Web!
加藤昌治著
日経文庫 860円(税別)
アイデア発想は頭のスポーツだ!
加藤氏が自ら実践するアイデア発想法を
練習ノート感覚で解説した新書は全国書店にて発売中。
TEXT:大正谷成晴