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インタビュー|加谷珪一
成功者の法則 3/3回

加谷珪一 インタビュー 最終回

エンリッチでもお馴染みの人気評論家、加谷珪一氏に、富裕層の言動や思考から見る「成功の法則」を伺う特別インタビュー。最終回は成功者でいるためのメンタリティについて話しがおよんだ。(1/3回から読む)

成功と失敗を分かつポイントは「法則性」にある

では、富裕層として成功・失敗する人との違いは何でしょうか。例えば起業家であれば、私は、ステップを踏んで合理的に辿りついた、法則性を踏襲できている方は転びにくいという印象を持っています。彼らは、どうすれば上手くいき、何をすれば失敗するか考え抜き、時間はかかってもおかしなことに足を突っ込みません。

他方、転落する人は、短期間に成功体験を得たゆえにノウハウの蓄積がなく、特にリスク管理が甘いようです。さらに、己の成功を必然だと勘違いしていることも。慢心が足元を狂わせるというのは、よくある話です。こういった傾向は、ニューリッチによく見られます。

大事なのは、自分が成功した理由を客観視して、「偶然の要素が大きいのか」「成功パターンをカバーしているのか」と理解すること。仮に偶然が大半を占めるのなら、一歩離れて戦略を練り直すことをお勧めします。それこそ、成功者の法則性を真似するなど、自分に足りないところを先人の知恵から補完すればいいのです。

法則性は押さえつつも変化を恐れないこと

また、成功者の多くは自分自身が意識するかどうかは別に、法則性を踏襲しつつも、過去の成功を絶対とは考えていません。むしろ、基本は押さえながら時代に合わせて柔軟に対応しています。

例えば、ソフトバンク。孫氏は当初、ソフト屋のパッケージ流通からビジネスを興し、アスキーがパソコン雑誌を出したと聞けば自分も雑誌を出し、出版社も立ちあげ、さらに米コンピュータ展示会「コムデックス」に行ったと思えば自社でもイベントを手がけるようになり、そして今日につながる携帯電話会社の買収…。一見するとハチャメチャに見えますが、その時代に何が伸びるか見定めてビジネスを展開し、成功を収めてきました。

ベンチャーキャピタルの世界では、「生き残る会社は上場までに2回ほど業態を変えるのは当たり前」といわれていて、創業当時と同じ会社はあまりないほど。ソフトバンクの場合、7~8回は業態転換をしています。つまり、マイナーチェンジも含め状況に応じて変化することも成功のポイントだということです。楽天だって、創業当初は主力だった楽天市場は、いまや事業の一部。金融や旅行など、多岐に渡るビジネス展開で、ここまできました。

ご存知でしょうが、ビジネスのサイクルはおよそ10年。90年代はソフトウェア、2010年までは初期のネットサービス、それ以降はクラウドサービスやSNSなど主力は移り変わり、時々でプレイヤーも異なります。いま成功していても10年でビジネス環境は変わりますから、そこでどう対応できるかが、維持発展のカギになります。起業家の方で今後の展開に迷っているなら、ぜひご参考いただければと思います。

エンリッチ編集部

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