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インタビュー|加谷珪一
成功者の法則 3/3回

「アグレッシブ」を履き違えてはいけない

行動を起こす際に注意しなければならないのは、「アグレッシブであるべき」という強迫観念に捉われないことです。世間一般にビジネスオーナーは何事にも積極的で即断即決というイメージがありますが、そんな人ばかりではありません。本当に重要なのは、即断即決するために、事前のシミュレーションを重ねておくことです。だからこそ、チャンスが巡ってきたときに、その場でキャッチができます。

当たり前の話ですが、「こういう条件が整ったら起業しよう」、「そのためにはいくら必要」、「自分にはどんな準備が必要か」と考えているのと、漠然とチャンスをつかみたいというのでは、いざ訪れた時の行動が違います。前者はすぐに動けますが、後者だと逡巡してしまい、結局は逃してしまうのが関の山。即断即決するための下準備が、未来を分かつというわけです。

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投資に大胆になれるのも同じこと。私自身は億単位の投資を経験していますが、それが1000万円でも心情的には心穏やかでありません。資産が100億円あったとしても同じことでしょう。ですが、そこで臆することなく資産を投じられるのは、あらかじめ「こういった銘柄・案件が来たら買おう」といったポリシーがあるからに他なりません。いきなり目の前にして悩むのとは次元が異なります。

投資に関していえば、起業家なら事業への投資がメインになりますが、他にも不動産や株式など、総合的に分散を試みている人の方が、資産の上昇カーブは顕著です。
ありがちなのは、株ばかりやっていると株にしか興味がなく、不動産や権利ビジネスは門外漢。反対に不動産ばかりで株には見向きもしないということも珍しくありません。ところが、上手くいっているときは良いのですが、パフォーマンスが悪くなると総崩れに陥ることも…。それを防ぐためにも幅広く情報収集を行い、資産は分散。これも、優秀な資産家に共通する点です。

富裕層の節約には
必ず目的がある

節約に対する考えにも、富裕層は一家言あるようです。平たくいえば、とても上手で、ムダなモノ・コトにはお金を使いません。「お金持ちはケチ」というイメージは、こういった理由もあるからです。ようは、支出の基準がしっかりしていて、必要なら100万円をポンと出しますが、不必要なら絶対に財布は開きません。

節約に対する概念も異なり、普通の人は節約自体が目的ですが、富裕層は投資の軍資金を貯めるなど、お金がお金を生むために節約を心がけています。そうでないと、攻めるべき時に資金が足りなかったり、まとまったお金がないために実入りが少なくなるからです。皆さんの起業家仲間でも、急に出費を控えるようでしたら、何かチャンスを伺っているのかもしれません。

このように、富裕層の法則性、さらにはタイプ別に特徴を私なりの視点で語りましたが、いかがでしょうか。どれかに当てはまるかもしれませんね。いずれにしろ大事なのは、成功者になるだけではなく、そのポジションを維持発展させることです。私の話が、そのためにヒントになれば幸いです。

−−−ユニーク、かつ実体験を伴った、加谷氏の富裕層分析。同じような立場にいるエンリッチ読者だからこそ、何かを感じ取っていただきたい。もちろん、新刊をはじめ加谷氏の著書も多いに参考になるはずだ。機会があれば、目を通してみることをお勧めする。

加谷 珪一 (かや けいいち)

経済評論家。東北大学卒業後、投資ファンド運用会社などで企業評価や投資業務に従事。その後、コンサルティング会社を設立し代表に就任。マネーや経済に関するコラムなどの執筆を行う一方で、億単位の資産を運用する個人投資家の顔も持つ。著書「お金持ちの教科書」(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

連載コラム

▶︎加谷珪一 著

「お金持ちの教科書」
CCCメディアハウス 1620円


エンリッチ編集部

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