プロ経営者の報酬が巨額に及ぶ理由とは?
マッキンゼー出身で、アメックス、ナビスコのトップを歴任し、IBM初として外部招へいのCEOに就任した名経営者、ルイス・ガースナーは、「CEOの報酬が高くなるのは芸能人と同じ。能力のあるヤツはごまんといるけど、この人でないとダメといわれるのは数名のみ。だから、100億でも当たり前」と語っていますが、まさにその通り。その人の能力が100億分ではなく、皆が「任せたい」と納得できる人が少ないから報酬が跳ね上がるのです。芸能界には美女やイケメンがたくさんいますが、ドラマや映画で主役を務めることができるのは、わずかひとにぎり。プロ経営者には、そういった側面もあるようです。
スケールは小さくなりますが、外国企業の日本法人の社長も年棒5000万円など高額報酬で、そういったポジションを狙い渡り歩く人もいるほど。日本語が堪能でビジネスにも精通し、かつ英語で現地法人とやりとりできる人材は意外に少なく、重宝されるのです。すると、業績が悪くなりクビになっても、すぐにけっこうな報酬で声がかかるとか。極論かもしれませんが、こういったジャンルだと業績は関係なく、スキルが重視される傾向にあるようです。
また、広いマーケットは機会が多い分、競争相手もたくさんいますが、狭いマーケットはリスキーな半面、うまくいくと長期に渡り地位を確立できます。もし、プロ経営者の方がいるのならニッチな分野を狙うことにも一考の余地がありそうです。
2.実業家であり資産家
同じ経営者でもソフトバンクの孫正義氏やユニクロの柳井正氏は、実業家であり資産家という立場。自社株を保有していて、それだけで資産は数千億円規模、年間で億単位の配当収入も手にしています。ですから、年棒数億円なんてどうでもよく、受け取らなくても構わないほど。プロ経営者が今年どれだけ稼ぐかに神経を使うのに対して、こういった資産家は守って殖やすことに気を配っています。
3.ニューリッチ
実業家に近い存在なのですが、近年は「ニューリッチ」と呼ばれる富裕層も目立ちます。ひと昔前は、資本金を集めオフィスを借り、コピー機をリース、人を雇うなど、会社を作ることは一大作業でしたが、いまはネットで完結し、それこそ自宅の一室でも起業することが可能。ウェブサーバを月2000円で借りればサービスを提供できるのです。キュレーションサービスは手軽に始められ、ここ数年でいくつものサービスが立ちあがりました。会社の体裁を成す前にサービスに火が付き、大手企業に1億円で買われるというケースも。こういったニューリッチが増えていることも事実で、社会環境の変化に伴い富裕層の実像も変わってきました。今後も、様々なタイプのプチリッチ、短期間で大金を手にする人は出てくるでしょう。
ただし、ニューリッチが必ずしもハッピーとは限りません。彼らの多くは幸か不幸か一度の成功体験をもとに、新たなビジネスを展開するケースが多いのですが、そこで成功を重ねてシリアルアントレプレナー、本格的に実業家、資産家としての道を歩む人もいれば、失敗して資産を失う人もいます。成功者であることは確かですが、一時的にとどまるケースもあるということです。
4.土地持ちの資産家
日本で多いのは、親から土地を相続した資産家です。彼らの場合、受け継いだ土地を守ることが命題。不動産は都心の一等地ならビルを建てて莫大な家賃収入を得られますが、地方だと広大な土地があっても工場に貸したりアパートを建てるなど用途が限られ、なかなかうまくいかない実情も見え隠れします。10億円、20億円という資産規模はあっても年間の収益は少なく、生活は地味で庶民的な一面もあり、倹約家、ともするとケチと映ることもあるようです。