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インタビュー|岡村聡
シンガポールから世界へ 前編

ところが、それ以上に盛り上がりを見せているのが、アメリカやイギリスです。集まるお金の量が桁違いで、ロンドンなんて100億円、200億円レベルの物件が取引されるほど。しかも、自由競争によりローカル勢を淘汰することを「ウィンブルドン現象」といいますが、ロンドン中心部で高額な物件を購入するのは外国人の富裕層ばかりです。日本では中国人富裕層が高層マンションを買い占めているという話を聞きますが、住民すべてが中国人ということはありませんが、イギリスではそれが当たり前で、しかも様々な国の人が一堂に集っているようです。

岡村聡氏

アメリカは順調に景気が回復していることから、資金が集中し始めています。ニューヨークはもちろん、西海岸も盛り上がっていて、日本からもIT起業家の移住が相次いでいます。そういった状況に伴い物価は高騰していて、サンフランシスコなら50平米のコンドミニアムの家賃が月40万~50万円もし、サウジアラビアのデベロッパーはロスに600億円もする豪邸を建築しています。その周辺にも250億円レベルの住宅が建てられている区画があり、明らかにバブルの様相を呈しているのですが収まりそうにありません。

ベンチャービジネスも活況で、配車アプリサービスを提供する米Uber社(ウーバー)は、昨年11月下旬に企業価値が6兆円に達したので5000億円もの資金を調達しましたが、その3週間後には8兆円を超え、さらに3000億円を集めています。

ベンチャービジネスも育っていて、未上場ベンチャーで10億ドル、日本円でおよそ1,200億円以上の企業価値を持つ会社を、その希少性から「ユニコーン」と呼んでいますが、アメリカだけで100社を超えています。設立してから2~3年、創業者も20~30代という若さで、そういった域に到達しているのには驚きを隠せません。対して、経済の失速が懸念されている中国ですら40社、日本では残念ながらありませんが、私自身はフリマアプリを展開するメルカリはユニコーンになるかもしれないと予測しています。

既存の企業でも、グーグルなら新卒社員の年収が2500万円! 50万円の家賃は痛くもかゆくもないのかもしれません。そういったトピックを耳にすると歯がゆく、足を運び目で確かめ、ゆくゆくは本格的に進出も果たしたいと考えています。

軸足を置いているアジア地域についても触れておきましょう。

シンガポールは私たちが移住した頃がバブルで物件価格も高騰していましたが、2012年に印紙税を上げたことが災いし、不動産の取引は急速に冷え込んでいきました。それが落ち着き、最近は中心部の物件が動き始めています。

エンリッチ編集部

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